第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

呼吸 研究

[O85] 一般演題・口演85
呼吸 研究04

2019年3月2日(土) 11:15 〜 12:15 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:小野寺 睦雄(倉敷中央病院集中治療科)

[O85-5] RST活動及び鎮静プロトコルの導入がICUに与えた影響に関する検討

山田 潤, 梅谷 俊介, 船田 泰弘 (社会医療法人愛仁会高槻病院 診療部 呼吸器内科)

【背景】J-PADガイドラインでは挿管患者において鎮痛をベースとした鎮静管理や、プロトコルに従った鎮静管理が推奨されている。当院は8床のICUを有しており、救急外来や一般病棟からの重症患者、あるいは術後に集中治療管理が必要な患者が収容される。Open ICUであり、集中治療医は配置されておらず、各診療科の担当医が患者の治療にあたっている。挿管患者の鎮静管理は各担治医の裁量で行われている。【目的】我々は2014年5月にRespiratory support team(RST)を立ち上げ、週1回人工呼吸器装着患者のラウンドを開始した。2015年にPADガイドラインに沿って、鎮痛を優先し浅鎮静を目標とした挿管患者のための鎮静プロトコルを作成し、院内で普及活動を行った。また、ラウンド時には適切に鎮痛薬を使用されていない患者については主治医に鎮痛薬の使用を推奨するようにした。今回、RST活動や鎮静プロトコルの導入がICUに与えた影響を検討する。【方法】当院ICUにて48時間以上挿管人工呼吸管理が行われた患者を対象に、2014年5月から2015年4月(対照群:37例)、2016年4月から2017年3月(介入群:48例)の2群間で鎮静薬の選択や鎮静深度、人工呼吸器非装着日数、ICU滞在日数、入院日数、院内死亡について後ろ向きに比較した。【結果】両群間で、年齢、性別、疾患、手術の有無、挿管時のSOFA scoreに優位な差は認めなかった。2016年群では鎮静プロトコルの使用は33%であった。フェンタニルの使用は増加し(30% vs 71%,P<0.01)、鎮痛薬を投与されていない患者が減少したが(62% vs 25%,P<0.01)、鎮静は深くなる傾向にあった(RASS,median,-2.3 vs -3.3,P=0.06)。人工呼吸器非装着日数(median[IQR],11[0-20] vs 10.5[0-19],P=0.73)、ICU滞在日数(15[11-27] vs 16[11.75-26],P=0.78)、入院日数(50[25-80]vs 38[24-61.25],P=0.47)、院内死亡(38% vs 38%)については差を認めなかった。【結語】RST活動や鎮静プロトコルの導入により鎮痛薬使用される症例が増加したが、鎮静は深くなる傾向にあった。鎮静プロトコルのさらなる普及と浅鎮静の達成が今後の課題と考えられた。