第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

感染・敗血症 研究

[O95] 一般演題・口演95
感染・敗血症 研究06

2019年3月2日(土) 14:00 〜 14:40 第12会場 (国立京都国際会館5F Room 510)

座長:吹田 奈津子(日本赤十字社和歌山医療センター 集中治療室)

[O95-2] 敗血症1時間バンドルの遵守に向けた特定看護師の介入と今後の課題

畑 貴美子1, 加藤 建吾1, 髙根澤 真希1, 藤本 佳久4, 神尾 学2, 河野 裕美3, 牧野 淳1 (1.横須賀市立うわまち病院 特定集中治療室, 2.横須賀市立うわまち病院 内科, 3.横須賀市立うわまち病院 救急総合診療部, 4.東京ベイ・浦安市川医療センター 集中治療科)

【背景】
2018年に一部改定された敗血症診療ガイドラインでは1時間バンドルが制定され、速やかな介入による患者の予後改善を目指す必要性が明記された。当院では、看護師特定行為研修を修了した看護師(以下、特定看護師)がRRS(Rapid Response System)の一員を担っており、急変患者に対する速やかな介入を目指している。2015年に研修制度が開始された特定看護師は、身体診察や臨床推論などの各項目の研修修了後、手順書をもとに医行為の実施が可能となる。特定看護師の介入が1時間バンドルの遵守のための速やかな介入を可能にし、患者の予後改善に寄与できるのではないかと考えた。
【目的】
一般病棟入院中の患者の敗血症性ショック時の特定看護師の行動を明文化し今後の課題を見出す
【方法】
敗血症患者への特定看護師の介入を整理し分析した
【結果】
当院は、患者の状態が不安定になった際にまずRRS担当看護師に連絡が入る。患者の状態に合わせて、RRS担当医師への介入依頼を行っている。早期敗血症を疑われる患者へ介入したRRS担当特定看護師は、20項目の行動をとっていた。1患者の身体診察、2敗血症性ショックと判断しRRS担当医師への介入依頼、3主治医へ報告、4輸液量の調整、5ICUへの受け入れ要請、6ICU看護師へ患者の状態報告、7ICU看護師へ必要な処置、物品の準備依頼、8病棟看護師へ患者の状況説明、9家族への連絡依頼、10動脈血液ガス採血、11カテコラミン投与、12超音波検査、13採血、14各培養検査、15病棟看護師へ搬送中に必要となる物品準備依頼、16ICUへの搬送介助、17ICU入室後医師による挿管中にCV挿入の準備、18観血的動脈圧ライン挿入、19抗菌薬投与指示、20胸部X線検査の依頼であった。これらの医行為は、医師の直接指示のため特定行為には該当しなかった。
【結論】
特定看護師は、看護と診察及び治療の面から患者を把握した介入を行っていた。また、医師と特定看護師の処置の同時進行は、処置の実施までの時間を短縮した。さらに、初期対応から抗菌薬投与までの指示と実施が可能であり、1時間バンドルの遵守に向けた介入のすべてに関与していた。これらのことは、これまで実現が難しかった人的資源が不足する時間や場所であっても予後改善に繋がるバンドルの遵守実現の可能性を示唆した。今後の課題は、さらなる介入の実態調査、活動体制の整備、新たな特定看護師の育成である。