[P101-3] 院外心停止患者における心肺蘇生時間と神経予後の関係は年齢によって異なるのか?
【背景】ガイドラインなどでは小児の心停止患者に対して成人よりも長時間の心肺蘇生(CPR)を行うことが推奨されているが、その効果を比較検討した研究は存在しない。【目的】院外心停止患者におけるCPR時間と神経予後の関係に与える年齢の影響を検討した。【方法】2005年から2012年にウツタイン全国データに登録された病院前で自己心拍が再開した患者を小児(0-17才)、成人(18-65才)、高齢者(66才以上)の3群に分けて、CPR時間と1ヶ月後の良好な神経予後獲得、年齢群との関係をロジスティック回帰分析で解析した。【結果】62208人の対象患者のうち1175人が小児群、20696人が成人群、40337人が高齢者群に割り振られた。全患者における良好な神経予後獲得率はCPR時間が0-9分では42.2%、10-19分では25.8%、20-29分では9.8%、30分以上では3.2%だった。成人群に比べて小児群はCPR時間が延長しても良好な神経予後獲得率が高く、高齢者群は良好な神経予後獲得率が低かった。成人群を対照とした良好な神経予後獲得の調整オッズは、小児群ではCPR時間が0-9分で2.6(95%信頼区間2.1-3.1)、10-19分で2.1(1.6-2.7)、20-29分で1.6(0.9-2.8)、30分以上で2.4(1.1-5.3)だった。同様に高齢者群ではCPR時間が0-9分で0.6(0.6-0.7)、10-19分で0.5(0.4-0.5)、20-29分で0.5(0.4-0.5)、30分以上で0.4(0.3-0.5)だった。【結語】年齢は院外心停止患者におけるCPR時間と神経予後の関係に影響することが示された。