[P20-4] 急性腎傷害に対するトルバプタンの腎機能および電解質に対する影響の検討 ~Japan AKI Databaseより~
【背景】重症患者のAKIに対してバソプレッシン受容体拮抗薬(トルバプタン)が投与されることがあるが、その効果は不明である。【目的】トルバプタンの投与がAKI患者の利尿・電解質に及ぼす影響を検討した。 【方法】多施設前向き観察研究(JAKID)の2次解析。2016年7月1日から12月31日に13施設のICUに入室した患者のうち、入室から48時間以内にKDIGO診断基準でAKIと診断された患者 1024人を対象とした。患者背景、生体情報、血液生化学検査、利尿薬(トルバプタン、ループ利尿薬、カルペリチド、浸透圧利尿薬等)を観察項目とした。主要評価項目はAKI診断から3日後までの累積尿量とし、副次評価項目をAKI診断3日後の電解質、ICU退室時・退院時転帰、入院中最終Cre値とした。統計解析には一般化推定方程式を用い、心臓血管外科手術をクラスターとした。P<0.05を統計学的な有意差ありと判断した【結果】AKIステージ1は330人(50.0%)、2は257人(25.1%)、3は255人(24.9%)であった。対象患者中44人(4.3%)にトルバプタンが使用されており、各利尿薬の主要評価項目に対する効果を表1に示した。ループ利尿薬、浸透圧利尿薬、カルペリチドはAKI診断3日間の累積尿量で有意な増加を示したが、トルバプタンは有意な変化を認めなかった。また、トルバプタンは、電解質の有意な変化も示さなかった(表1)。【結論】AKI患者において、トルバプタンによる明らか尿量の増加、電解質異常は観察されなかった。