第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

消化管・肝・腎

[P20] 一般演題・ポスター20
消化管・肝・腎02

Fri. Mar 1, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場20 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:柏浦 正広(自治医科大学附属さいたま医療センター 救急科)

[P20-6] 敗血症性急性腎傷害に対する急性血液浄化療法後の透析離脱困難を予測する因子の解析

島 惇1, 方山 真朱1, 藤内 研1, 後藤 祐也2, 鯉沼 俊貴1, 小山 寛介1, 布宮 伸1 (1.自治医科大学 麻酔科学・集中治療医学講座 集中治療医学部門, 2.札幌医科大学 集中治療医学)

はじめに:集中治療室(ICU)で急性血液浄化療法を施行した患者が生存した場合、約30%が数年以内に維持透析に至ると報告されている。しかし、敗血症性急性腎傷害(AKI)において敗血症の重症度や背景因子が透析離脱困難に影響するか不明である。本研究では、敗血症性AKIにおいて急性血液浄化療法の離脱困難を予測する因子を探索することを目的とした。方法: 本研究は単施設後方視的研究である。2011年6月から2017年12月まで当院集中治療部に入室した818例の敗血症患者のうち、48時間以内に急性血液浄化療法が施行された症例を対象とした。院内生存した症例における退院時透析離脱の可否を2群に分け解析した。維持透析やAKI診断に必要な項目が欠損している症例は除外した。結果:48時間以内に急性血液浄化療法を施行された症例は142人で、85人(59.9%)が院内生存した。うち76人は退院時には透析から離脱したが、9人が退院時透析離脱困難であった。APACHE II、SOFA scoreなどの重症度スコアやICU期間、入院日数には両群間で有意差を認めなかったが、敗血症性ショックは透析離脱困難群で有意に少なかった(69.7 vs. 33.3%、 P = 0.029)。慢性腎障害は透析離脱困難群で有意に多かった(26.3% vs. 77.8%、 P = 0.002)。ICU入室時のBUN (52 vs. 88 mg/dL、 P = 0.002)、クレアチニン(Cr) (2.94 vs. 6.97mg/dL、P <0.0001)、シスタチンC (2.42 vs. 4.42 mg/L、 P = 0.001)は透析離脱困難群で有意に上昇していた。入室時のCrが3.70mg/dL以上の場合、透析離脱困難を予測する感度88.9%、特異度69.7%、AUROC (Area under receiver operating characteristic) 0.833であった。結語:敗血症の重症度ではなく、慢性腎障害の有無やICU入室時のCrやBUNが急性血液浄化導入後の透析離脱困難を予測する因子であった。