第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

中枢神経

[P23] 一般演題・ポスター23
中枢神経04

2019年3月1日(金) 14:00 〜 14:50 ポスター会場3 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:中尾 慎一(近畿大学医学部麻酔科学教室)

[P23-4] 頭部MRI画像が経時的に変化した熱中症に伴う遷延性意識障害の1症例

戸上 由貴1, 廣瀬 智也1, 大井 和哉1, 横野 良典1, 野間 貴之1, 小川 新史1, 山田 知輝1, 中江 晴彦1, 島崎 淳也2, 水島 靖明1 (1.大阪警察病院 ER・救命救急科, 2.大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター)

【背景】熱中症の主たる後遺障害は中枢神経障害であり、熱中症全体の約1.5%にみられる。中枢神経系後遺症の原因としては、熱による直接の神経細胞障害だけではなく、過剰なサイトカイン、凝固異常による微小血管内血栓、血管内皮細胞の障害などが挙げられている。熱中症急性期の頭部MRI画像所見は、小脳の信号変化が多く、テント上の病変としては白質・線条体・外包・視床に信号変化を認めるという報告があるが、症例や時期によって様々である。今回我々は、時間経過とともに画像所見が変化した遷延性意識障害を伴う3度熱中症の症例を経験したので報告する。【臨床経過】統合失調症の既往がある37歳女性。支援施設職員に本人から連絡があり、職員が連絡のあった2時間後に訪問すると、自宅内の高温環境下で倒れていたため前医に救急搬送となった。処置困難のため、当院に紹介搬送となった。来院時のバイタルサインは、Glasgow Coma Scale(以下GCS):E1V2M1、血圧:150/120mmHg、心拍数:180回/分、呼吸数:40回/分、SpO2:98%(酸素マスク5L/分投与下)、体温:38.9℃と意識障害・頻脈・頻呼吸・高体温を認めた。頭部CT・頭部MRIでは意識障害の原因となるような病変は認めなかった。血液検査では、肝機能障害・腎機能障害・血液凝固異常を認めた。以上より、3度熱中症の診断で人工呼吸管理とし、集中治療室に入院となった。入院2日後、意識レベルはGCS:E4VTM4まで改善した。第8病日に頭部MRIを再検すると、両側淡蒼球に拡散強調画像で高信号、ADCマップで低信号、T2強調像・FLAIRで高信号を示す左右対称な病変を認めた。第15病日に再度MRIを撮影すると、第8病日にみられた両側淡蒼球の異常信号は消失していた。第22病日のMRIではT1強調画像のみで同部位の高信号を認めた。第30病日のMRIではT1強調画像での高信号は持続しており、T2強調像・FLAIRで再度高信号を呈していた。意識レベルはGCS:E4VTM4と改善することのないまま、第37病日に転院となった。【結論】熱中症による遷延性意識障害患者の頭部MRI画像を経時的にフォローした。来院時には明らかな病変を認めなかったが、両側淡蒼球に経時的に信号の変化する病変を認めた。