第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

感染・敗血症 症例

[P25] 一般演題・ポスター25
感染・敗血症 症例04

2019年3月1日(金) 14:00 〜 14:50 ポスター会場5 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:小松 孝行(順天堂大学医学部附属練馬病院 救急・集中治療科)

[P25-3] E.coliによる感染性心内膜炎に脳幹,両側視床梗塞を合併した僧帽弁形成術後の1例

清水 洋1, 本郷 貴識2, 田邉 真樹1, 中村 一葉1, 宮崎 紀樹1, 小林 未央子1, 石田 琢人1, 田邉 孝大1, 杉山 和宏1, 濱邊 祐一1 (1.東京都立墨東病院 救命救急センター, 2.岡山済生会総合病院 救急科)

【背景】僧帽弁形成術は人工弁置換術後と比較し感染性心内膜炎を発症することは少なく,人工弁輪感染はまれと言われている。そのため治療に関しては自己弁と人工弁感染の中間として位置付けられ,明確な方針は定まっていない。【臨床経過】74歳男性。1年前に僧帽弁形成術を施行された。前日より椅子から動けない状態であり,来院当日には発語もない状態であったため救急要請し当院搬送となった。当院到着時,E4V1M4で発語を認めず頭部MRIで脳幹,両側視床を含む多発性脳梗塞を認めた。また眼瞼結膜に点状出血と経胸壁心エコーで僧帽弁に疣贅を疑う所見を認め,感染性心内膜炎に伴う多発性脳梗塞と考えられた。CFPMとVCMで治療を開始し第2病日には血液培養からE.coli様のGNRを検出したのでCFPMとCPFXへ変更とした。意識状態の悪化により第2病日に気管挿管を施行し経食道心エコーを施行したところ後尖弁輪部に疣贅を認めた。心不全症状はなかったが,僧帽弁形成術後の感染性心内膜炎であり手術も考慮されたが脳幹梗塞,両側視床梗塞による意識障害を認め,神経学的予後を考慮し内科的治療とした。血液培養では感受性良好のE.coliを検出し僧帽弁形成術後と髄膜炎の合併を考慮しCTRX+CPFXの2剤での治療を継続した。従命反応にも乏しかったため第6病日に気管切開術を施行し,第7病日には人工呼吸器から離脱とした。フォローの血液培養は陰性であり第11病日にフォローの経食道心エコーを施行したところ僧帽弁逆流の程度には変化はなかったが,疣贅は依然として残存した。その後も意識状態に変化はなく第22病日にフォローの頭部CTを施行したところ右視床に出血性脳梗塞を認めた。心房細動に対して抗凝固療法を行なっていたが中止としフォローのCTで拡大がないことを確認した。CTRXとCPFXによる治療は21日間施行しそれ以降はCPFX単剤とした。経食道心エコーのフォローでは僧帽弁逆流や疣贅の大きさに変化はなかったが徐々に従命反応を認めるようになったので第42病日に経口摂取を開始した。その後発語も認めるようになり自分で経口摂取出来るようになったが疣贅は依然として認めたため手術目的に第67病日に転院となった。転院後もCPFXの治療を継続し経食道心エコーで疣贅は縮小したため手術は施行せずリハビリを行い療養病院へ転院となった。【結論】僧帽弁形成術後の感染性心内膜炎に対して,2剤の抗生剤治療により救命した1例を報告する。