第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

感染・敗血症 症例

[P25] 一般演題・ポスター25
感染・敗血症 症例04

2019年3月1日(金) 14:00 〜 14:50 ポスター会場5 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:小松 孝行(順天堂大学医学部附属練馬病院 救急・集中治療科)

[P25-6] PICCによる合併症として広範囲の化膿性血栓性静脈炎をきたした一例

冨澤 聡史1, 鈴木 崇之1, 前田 慎太郎1, 新井 周華1, 新村 兼康1, 鈴木 利直2 (1.さいたま赤十字病院 外科, 2.君津中央病院 救急・集中治療科)

「PICCによる合併症として広範囲の化膿性血栓性静脈炎をきたした一例」さいたま赤十字病院 外科1)、君津中央病院 救急・集中治療科2)冨澤 聡史1)、鈴木 崇之1)、前田 慎太郎1)、新井 周華1)、新村 兼康1)、鈴木 利直2)【背景】PICC(peripherally inserted central venous catheter)は内頸や鎖骨下から挿入する中心静脈カテーテルCVC(central venous catheter)と比べ患者の負担も少なく、挿入時の安全性も高いため、近年使用頻度が増えている。しかし、遅発性合併症としてCRBSI(catheter related blood stream infection)や静脈血栓塞栓症などの合併症のリスクもあり、挿入中の管理には十分注意が必要である。【症例】心房細動の既往のある61歳男性。右下腹部痛と発熱を主訴に近医受診し、消化管穿孔疑いで当院紹介となった。CTでは直腸RSでの穿孔を疑い、腹壁直下にはairを伴う膿瘍腔を認めた。膿瘍腔に対してエコーガイド下にpig tailカテーテルを留置し、ドレナージを行うとともに抗生剤加療を開始した。また第5病日に右上腕尺側皮静脈にPICCを挿入しTPN(total parenteral nutrition)での栄養管理を開始した。第16病日から発熱が続き、感染源のコントロール不良と考え、第18病日に開腹ドレナージを施行した。手術診断は直腸憩室穿孔であり、洗浄ドレナージ、小腸部分切除、人工肛門造設術を行った。第20病日に術前に提出した血液培養からcandida parapsilosis が発育したためPICCによるCRBSIを疑いカテーテルを抜去し、抗真菌薬を開始した。後日カテーテル培養からも菌の発育を認めた。エコー・CTでは右上腕尺側皮静脈に充満した血栓を認め、カテーテル挿入部位の血管に一致する発赤を認め、化膿性血栓性静脈炎と診断した。またCTの肺野には開腹ドレナージ時のCTにはなかった新規の多発結節影が出現しており、化膿性血栓性静脈炎に伴う敗血症性肺塞栓症と考えた。化膿性血栓性静脈炎に対しては右上腕尺側皮静脈抜去術・右鎖骨下静脈血栓除去術を行い、抗真菌薬治療を継続した。右上肢には浮腫や運動・感覚の後遺症なく、第92病日に自宅退院となった。【結語】PICC使用期間にカンジダ菌血症、化膿性血栓性静脈炎、敗血症性肺塞栓症を合併し、外科的血栓除去術・静脈抜去術を要した症例を経験した。PICC使用時には挿入前にPICCに伴うCRBSIや血栓症などの合併症に対するリスク評価も必要だと思われる。