第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

循環 症例

[P36] 一般演題・ポスター36
循環 症例04

2019年3月1日(金) 14:00 〜 14:50 ポスター会場16 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:橋場 英二(弘前大学医学部附属病院集中治療部)

[P36-3] ニフェカラントが著効したアミオダロン抵抗性Electrical storm: 血液透析中のCABG術後症例

伊藤 博隆1, 秋田 雅史2, 稲村 順二2, 勝部 年雄2, 高橋 昌吾2, 三原 由裕3, 小川 佳昭3, 西岡 晃平3 (1.新松戸中央総合病院 麻酔科, 2.新松戸中央総合病院 心臓血管外科, 3.新松戸中央総合病院 臨床工学科)

(背景)Electrical storm (ES)に対して、アミオダロン(AMD)とニフェカラント(NIF)両者を使用した報告は少ない(経過)血液透析(HD)中の72歳男性。冠動脈狭窄による狭心症の為、OPCAB予定。術前心エコーでEF29%、心電図で単発PVCが認められた。入室後シャント反対側橈骨動脈よりA-line確保し、麻酔導入後、胃管とTEEを挿入、右内頸静脈よりCVとSGカテを留置。タイムアウトの直後(執刀直前)、VF確認(履歴でR on Tと判明)。リドカイン(LID)、AMDを投与、DC施行後一旦心拍再開するも、再びVFを繰り返した。心臓マッサージ(CM)を継続し右大腿動脈より送血管、右大腿静脈より脱血管を挿入しCPB開始(瞳孔確認にて2mmで左右差なし)。ROSC後脳損傷予防目的でラボナールとエダラボンを投与、抗不整脈目的で硫酸マグネシウム投与とAMD持続投与を開始した。CABG(2枝)施行後、PVC散発のままCPB離脱。瞳孔、NIROでのTOI値、BIS値での左右差はなかった。術後ICUベッドへ患者を移動し、オペ室を出た直後にVTとなりCM、DC施行、ノルアドレナリン(NAD)をワンショット投与後VT消失し、血圧、瞳孔問題ないことを確認後、ICUへ帰室した。帰室12時間後HD再開。術後3日目(POD3)朝抜管し、家族が驚くほど暴言連発。AMD持続投与は継続されていたが、抜管後からPOD8までECを要するVT/VFが10回認められ、その70%がHD中に発生。患者の意識レベルに問題なく、POD8午前中HD終了後ICD植え込み手術可能な近医へ転院予定だった。面談後、家族は先に転院先へ向かった後(HD終了15分後)ESによる心原性ショックとなり気管内挿管やCM、DCを繰り返しながらPCPS開始。持続投与中だったAMDは中止せず、NIFをワンショットした直後よりVFが消失、洞調律に戻った為、AMD投与中止としNIF持続投与に切り替え、バソプレシンとNAD、ニコランジルの持続投与を開始しPCPS補助の下、心機能回復を待った。POD9の夕方には心機能回復が確認された為、手術室にて麻酔科医管理の下、PCPS離脱。POD10には覚醒良好、抜管となった。以後POD12HD中にECを要するVT1回を除き、POD40までNIF投与量を漸減したがVT/VF発生なく経過し、POD41投与中止とした(結論)緊急PCPSを必要とする心原性ショックに至ったEC&AMD治療抵抗性ESに対し、NIF単剤投与が即効し、抗不整脈作用が維持された症例を経験した。また、本症例ではHD中のVT/VFの再発率はNIFの方がAMDに比べて優位に少なかった