[P53-3] 当院ICUでのせん妄発生患者の疾患背景
【背景】一般にICUでは30~80%の患者がせん妄が発生するとされているが、発生患者の疾患背景は様々でよくわかっていない。また、せん妄を発症するとICU滞在時間の長期化や死亡率が増加することが指摘されている。
【目的】今回我々はせん妄発症患者の疾患背景について調査を行った。ICUに入室した患者において、せん妄発生者数、疾患背景、ICU滞在時間や死亡率との関係を後ろ向きに検討した。
【方法】2016年4月から2017年3月までに当院ICUに入室した患者のうち、72時間以上滞在した成人患者を対象とした。中枢神経疾患の既往、精神科疾患の既往、中毒患者、入室1日目でICD-SCが4点以上の患者、妊娠患者は除外した。対象患者の臨床的背景、ICD-SC、ICU滞在時間、28日死亡率を調べた。ICD-SCが4点を超えた場合をせん妄発生とした。せん妄発生の有無によるAPACHE2スコア、ICU在室日数の差の検定はFisherの正確検定、各パラメーターの相関関係についてはSpearman相関係数を用いた。
【結果】期間中の対象患者は38名であり、うちせん妄発生患者は8名であった。せん妄発生日の中央値は3日であった。せん妄発生患者の内訳は呼吸不全5名、術後入室2名、敗血症1名であり、6名が自己免疫疾患で免疫抑制剤やステロイドの投与を受けていた。せん妄発生患者のAPACHE2スコアの平均値は21.8点、せん妄非発生患者は20.5点であった。鎮静薬の使用はせん妄発生患者では6名(75%)、せん妄非発生患者は16名(53%)であったが、差はなかった。せん妄患者の平均滞在日数は11.8日に対し、非せん妄患者は8.8日であったが、差はなかった。対象患者のAPACHE2スコアとICU滞在時間との間には正の相関関係(ρ=0.50)を認めたが、せん妄発生とICU滞在時間との間には有意な関係は認められなかった(p=0.27)。また、せん妄発生と28日死亡との間にも有意な関係は認められなかった(p=0.41)。
【結論】今回の我々の調査結果からはICUでのせん妄発生患者の疾患背景は様々で傾向を見極めることはできなかった。鎮静やせん妄を適切にモニタリングしている状況ではせん妄の発生率には一般的に言われているよりも低く、せん妄が発生しても必ずしもICU滞在時間の長期化や死亡率の増加にはつながらないと推察する。今後ICU環境因子のせん妄予防に与える影響について検討を行っていきたい。
【目的】今回我々はせん妄発症患者の疾患背景について調査を行った。ICUに入室した患者において、せん妄発生者数、疾患背景、ICU滞在時間や死亡率との関係を後ろ向きに検討した。
【方法】2016年4月から2017年3月までに当院ICUに入室した患者のうち、72時間以上滞在した成人患者を対象とした。中枢神経疾患の既往、精神科疾患の既往、中毒患者、入室1日目でICD-SCが4点以上の患者、妊娠患者は除外した。対象患者の臨床的背景、ICD-SC、ICU滞在時間、28日死亡率を調べた。ICD-SCが4点を超えた場合をせん妄発生とした。せん妄発生の有無によるAPACHE2スコア、ICU在室日数の差の検定はFisherの正確検定、各パラメーターの相関関係についてはSpearman相関係数を用いた。
【結果】期間中の対象患者は38名であり、うちせん妄発生患者は8名であった。せん妄発生日の中央値は3日であった。せん妄発生患者の内訳は呼吸不全5名、術後入室2名、敗血症1名であり、6名が自己免疫疾患で免疫抑制剤やステロイドの投与を受けていた。せん妄発生患者のAPACHE2スコアの平均値は21.8点、せん妄非発生患者は20.5点であった。鎮静薬の使用はせん妄発生患者では6名(75%)、せん妄非発生患者は16名(53%)であったが、差はなかった。せん妄患者の平均滞在日数は11.8日に対し、非せん妄患者は8.8日であったが、差はなかった。対象患者のAPACHE2スコアとICU滞在時間との間には正の相関関係(ρ=0.50)を認めたが、せん妄発生とICU滞在時間との間には有意な関係は認められなかった(p=0.27)。また、せん妄発生と28日死亡との間にも有意な関係は認められなかった(p=0.41)。
【結論】今回の我々の調査結果からはICUでのせん妄発生患者の疾患背景は様々で傾向を見極めることはできなかった。鎮静やせん妄を適切にモニタリングしている状況ではせん妄の発生率には一般的に言われているよりも低く、せん妄が発生しても必ずしもICU滞在時間の長期化や死亡率の増加にはつながらないと推察する。今後ICU環境因子のせん妄予防に与える影響について検討を行っていきたい。