第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

チーム医療

[P64] 一般演題・ポスター64
チーム医療04

2019年3月2日(土) 14:00 〜 14:40 ポスター会場2 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:山田 知輝 (大阪警察病院 ER・救命救急科)

[P64-3] 京都市立病院ICUにおける人工呼吸器離脱プロトコルの現状と課題

下新原 直子, 安本 寛章, 荒井 俊之 (京都市立病院 集中治療科)

【背景】挿管期間の延長は予後増悪因子であり、人工呼吸期間を短縮することはICUにおける重要な課題である。多職種による評価で「中断のない」「均質で」「安全な」呼吸器離脱を実現するために、2015年2月に『人工呼吸器離脱に関する3学会合同プロトコル』が発表され、当院でも2015年秋よりICU看護師を中心とした勉強会を行い、2016年度よりSAT・SBTプロトコル(以下SAT・SBT)の導入を開始した。【目的】SAT・SBT施行を振り返り、評価・修正を行う。【方法】2016年4月から2018年3月までの2年間に、ICUに入室した挿管患者321例のうち、1日以内の離脱43例、15歳以下7例、転院および死亡51例、抜管せず気管切開に移行した37例を除外した183例につき、SAT・SBTの実施率・回数、クリア率、クリアしなかった項目、再挿管、人工呼吸期間、院内死亡率などを調査した。【結果】対象患者183例の平均人工呼吸期間は5日間であった。SAT・SBTは163例(89%)に実施されており、一人あたり平均1.2回行われていた。抜管をトライした後に再挿管となったのは14例(7.6%)で、SAT・SBT実施率は抜管成功群で88.8%、再挿管群で93%、SAT・SBTクリア率はそれぞれ33.7%、21%であった。SAT・SBTをクリアせずに抜管を行った94例においてクリアしていなかった項目は、発熱37例(39%)、意識レベルや興奮・不安などの意識に関する項目が33例(35.1%)、不整脈や昇圧剤投与など循環に関する項目が28例(29.9%)、一回換気量やRapid shallow breathing indexなど呼吸に関する項目が19例(20%)であった。再挿管となった14例について、再挿管の原因は喀痰排出困難が6例、肺水腫が5例、気道狭窄が2例、痙攣が1例であった。【結論】SAT・SBT実施率は高かったが、1人あたりの実施回数が少なく、SAT・SBTクリア率が抜管成功群・再挿管群ともに低値であった。クリアしていない項目は発熱や意識・循環に関する項目が多く、基準のあいまいさが原因となっている可能性があった。また現在のSAT・SBTでは気道狭窄や喀痰排出能力の評価項目がないため、再挿管を減らすには、咳嗽時最大呼気流量などの指標の導入が考慮される。今後の課題はSAT・SBTが人工呼吸早期より毎日実施され、適切な抜管時期の検索に利用されるような修正プロトコルを作成することである。