第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

呼吸 症例

[P69] 一般演題・ポスター69
呼吸 症例04

2019年3月2日(土) 14:00 〜 15:00 ポスター会場7 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:横瀬 真志(横浜市立大学附属病院 集中治療部)

[P69-5] 気道管理に難渋した再発性多発軟骨炎による気管気管支軟化症の1例

三部 徳恵, 江花 英朗, 箱崎 貴大, 五十洲 剛, 黒澤 伸, 村川 雅洋, 小原 伸樹, 井石 雄三, 本田 潤, 細野 敦之 (福島県立医科大学 麻酔科学講座)

【背景】再発性多発軟骨炎(RP)では,繰り返す炎症のために軟骨に変形,消失が生じ,気道狭窄や閉塞が起こりうる.障害を受けた軟骨は再生せず,治療はステロイドや免疫抑制剤投与,陽圧換気,気管切開や気道ステント留置等.【臨床経過】70才,男,162cm,72kg.60才時,声帯から気管に及ぶ粘膜腫脹,声帯可動不良で,前医で気管切開を受けた.生検等でRPと診断され,ステロイド,免疫抑制剤等投与で症状改善し,本人の希望で気管切開孔は閉鎖.61才,気道ステントの適応等に関し当院を紹介受診.気管・気管支に全体的な気道狭窄を認めたが,ステロイドと免疫抑制剤で呼吸は保たれており,合併症の発生も考慮しステント留置は可能な限り先延ばしする方針となったと.気管支拡張薬を追加,%VC 75%,FEV1% 33%程で経過.最近,呼吸状態が悪化し主治医外来を受診.意識清明,起座呼吸,SpO2 92%(鼻カテ5L/min),呼吸19/min,心拍120bpm,WBC 11000/μl,CRP 2.06 ,pH 7.308,pCO2 48,pO2 83.7mmHg.気道炎症や分泌物増加による急性増悪と判断し,ステロイドパルス療法を施行,症状がやや改善しICUに入院.NPPVは本人が希望せず,座位で酸素投与を継続したが,翌朝呼吸や意識状態が悪化し気管挿管.前気管切開瘢痕や原疾患に因る気道狭窄等が原因か声門下狭窄がありID 8.0mmは通過せず6.0 mmチューブを留置しCPAP等で管理.非陽圧下呼気時には気管・気管支が容易に虚脱し,また咳込み等でも呼吸困難が発生.CTでは末梢側気管支で気道狭窄が進んだ印象.入院3日目左気胸に対しドレン留置.5日目に抜管したが呼吸困難で8.0mmチューブ再挿管,その後頚部皮下気腫出現,挿管時の喉頭損傷等が原因と推測.8日目に輪状軟骨開窓で気管切開,呼気や排痰努力が軽減され人工呼吸離脱に成功し,ICUを退室.酸素投与無し,排痰多く複管式気管カニュラ留置状態で84日目に独歩退院.【結論】原疾患による難治性気管狭窄や呼気時の気道虚脱,ステント留置で容易には解決困難な末梢気道狭窄,前回気切後瘢痕による狭窄,ステロイド性の脆弱組織等多くの問題を抱えた症例であるが,関係各科との連携により今回の急性呼吸不全を乗り越えることができた.