[P7-1] 重症熱性血小板減少症候群の生存例と非生存例におけるウイルス量と抗体価の経時的変化と臨床経過
【背景】重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome:SFTS)は、ブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類されるSFTSウイルスによる新興感染症で、主にマダニを媒介して感染する。本邦では2013年に症例が報告されて以降、西日本を中心に報告が増加している。今回我々は、SFTSの生存例と非生存例を経験し、経時的にウイルス量と抗体価を測定したので、臨床経過も含めて報告する。
【臨床経過】[症例1]農業や狩猟を生業とする60歳台男性が、5月某日に発熱と体動困難を訴えて近医受診した。高熱と神経学的異常や血球減少を認めたため、発症3日目に当院紹介され、検査の結果からSFTSと診断した。入院後に昏睡状態となり、ショック、呼吸不全、出血傾向、肝障害、腎障害、播種性血管内凝固、汎血球減少などを認め、骨髄穿刺では血球貪食像を認めた。人工呼吸管理や持続血液ろ過透析、血漿交換、ステロイドパルス療法、抗菌薬と抗真菌薬の投与などを行い、一旦全身状態は改善したが、Aspergillus fumigatus、Stenotrophomonas maltophilia感染を合併して発症51日目に死亡した。後日の検体検査では、抗体価は発症23日後に上昇し、ウイルス量は発症7日後の8.62×107 copies/mlを最高値に緩徐に低下し、発症51日目に測定感度以下となった。[症例2]畑仕事など行う70歳台女性が、7月某日に発熱と食欲低下、ふらつきを訴えて近医受診した。高熱と血球減少を認め、発症6日目に当院紹介され、検査の結果からSFTSと診断した。入院後は一過性の意識障害や肝障害、横紋筋融解症、2系統の血球減少を認め、骨髄穿刺では血球貪食像を認めた。抗菌薬を投与して経過観察し、全身状態改善したため発症19日目に他院転院した。抗体価は発症10日後に上昇し、ウイルス量は発症6日後の3.37×105 copies/mlを最高値に低下し、発症21日目に測定感度以下となった。
【結語】非生存例のウイルス量は生存例より高値で陰性化までに時間を要した。抗体価の上昇は生存例では早期に認めたが非生存例では遅延していた。これまで重症例ではウイルス量が多い事が報告されているが、抗体産生の遅延も病状や予後を反映する可能性があると考えられた。
【臨床経過】[症例1]農業や狩猟を生業とする60歳台男性が、5月某日に発熱と体動困難を訴えて近医受診した。高熱と神経学的異常や血球減少を認めたため、発症3日目に当院紹介され、検査の結果からSFTSと診断した。入院後に昏睡状態となり、ショック、呼吸不全、出血傾向、肝障害、腎障害、播種性血管内凝固、汎血球減少などを認め、骨髄穿刺では血球貪食像を認めた。人工呼吸管理や持続血液ろ過透析、血漿交換、ステロイドパルス療法、抗菌薬と抗真菌薬の投与などを行い、一旦全身状態は改善したが、Aspergillus fumigatus、Stenotrophomonas maltophilia感染を合併して発症51日目に死亡した。後日の検体検査では、抗体価は発症23日後に上昇し、ウイルス量は発症7日後の8.62×107 copies/mlを最高値に緩徐に低下し、発症51日目に測定感度以下となった。[症例2]畑仕事など行う70歳台女性が、7月某日に発熱と食欲低下、ふらつきを訴えて近医受診した。高熱と血球減少を認め、発症6日目に当院紹介され、検査の結果からSFTSと診断した。入院後は一過性の意識障害や肝障害、横紋筋融解症、2系統の血球減少を認め、骨髄穿刺では血球貪食像を認めた。抗菌薬を投与して経過観察し、全身状態改善したため発症19日目に他院転院した。抗体価は発症10日後に上昇し、ウイルス量は発症6日後の3.37×105 copies/mlを最高値に低下し、発症21日目に測定感度以下となった。
【結語】非生存例のウイルス量は生存例より高値で陰性化までに時間を要した。抗体価の上昇は生存例では早期に認めたが非生存例では遅延していた。これまで重症例ではウイルス量が多い事が報告されているが、抗体産生の遅延も病状や予後を反映する可能性があると考えられた。