第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

感染・敗血症 症例

[P7] 一般演題・ポスター7
感染・敗血症 症例01

Fri. Mar 1, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場7 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:曽我部 拓(大阪医療センター)

[P7-3] 壊死性筋膜炎の加療中にダプトマイシンが原因と考えられる薬剤性肺炎を来した一例

奥 比呂志, 森山 太揮, 澤野 宏隆, 林 靖之 (大阪府済生会千里病院 千里救命センター)

【背景】ダプトマイシンによる好酸球性肺炎は症例報告が散見される程度の稀な合併症である。今回我々は壊死性筋膜炎の加療中にダプトマイシンが原因と考えられる好酸球性肺炎を発症した一例を経験したので報告する。【臨床経過】特に既往のない78歳男性。右膝から末梢の発赤腫張で前医を受診、CTで右側胸部から右下腿にかけての脂肪織濃度の上昇と少量の液体貯留、縫工筋の造影不良を認め壊死性筋膜炎と診断され、加療目的に当院転院となった。炎症が広範囲に及んでいること、液体貯留が少ないことから局所の小切開による排膿と抗菌薬で加療する方針とし、セファゾリンとクリンダマイシンを開始したが、発赤が拡大傾向であったため入院2日目にバンコマイシンを追加した。膿汁の培養と血液培養からMRSAが検出された。抗菌薬投与と局所の切開排膿及び洗浄を連日施行したものの発熱は継続、徐々に全身状態の悪化を認めたため、入院6日目にダプトマイシンに変更した。抗菌薬変更後から次第に炎症反応は鎮静化、切開排膿と洗浄も連日継続し、局所所見も改善傾向となった。ダプトマイシン投与開始後27日目に炎症反応の上昇と共に急激に呼吸状態が悪化した。胸部CTでは両肺の末梢優位に浸潤影が多発している所見を認めた。また末梢血中の好酸球が軽度上昇しており、ダプトマイシンによる好酸球性肺炎を疑った。ダプトマイシンを中止し、ステロイドパルス療法を施行したところ、速やかに呼吸状態は改善し、肺野の異常陰影も消失した。抗菌薬はリネゾリドに変更、以後呼吸状態は悪化なく経過し、また壊死性筋膜炎も改善したため、入院69日目にリハビリ目的に転院とした。【結語】ダプトマイシンによる好酸球性肺炎は稀ではあるが、投与中の呼吸状態悪化の鑑別として念頭に置く必要がある。