第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

患者管理

[P80] 一般演題・ポスター80
患者管理05

2019年3月2日(土) 14:00 〜 15:00 ポスター会場18 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:小杉 一江(地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立総合病院看護部)

[P80-3] 救命救急センターに勤務する看護師の認知機能低下がある患者への対応の現状

深澤 渚, 倉嶋 久美子 (長野赤十字病院 B3病棟)

【背景】A病院救命救急センターの入院部門はICU、EICU、HCU、ECUの4セクション、計38床で構成されている。日々の臨床場面の中で、身体抑制や鎮静剤を使わざるを得ない状況があるが、それらの行為により認知機能低下がある患者の行動・心理症状を悪化させている現状にジレンマを感じている。今回、私たちは認知機能低下がある患者に対し、看護師がどのような対応をしているかを明らかにすることで、患者の行動・心理症状の出現、悪化の予防を行っていく上での課題の示唆を得られるのではないかと考えた。【目的】救命救急センターに勤務する看護師の認知機能低下がある患者への対応の現状を明らかにする。【方法】A病院救命救急センターの入院部門に勤務する看護師58名を対象に、研究者が独自に作成した質問紙を用いて、実際に行っている看護師の対応について、〈コミュニケーションに関すること〉、〈環境調整に関すること〉、〈事故防止に関すること〉にカテゴリー化した計31項目を「行えなかった」、「あまり行えなかった」、「時々行えた」、「いつも行えた」の4段階で回答してもらった。質問紙にて得られた回答を点数化し、単純集計を行い、項目毎に平均値、中央値、最頻値を出し、カテゴリー内で比較した。【結果・考察】58名中42名から回答が得られた(有効回答率95%)。〈コミュニケーションに関すること〉では、認知機能低下がある患者は環境に慣れることに時間がかかり、不安を抱えているため、患者の名前を呼びかけたり、処置の前に説明を行いなどの対応をし、患者の不安軽減に努めていた。〈環境調整に関すること〉では、面会時間が制限されている、治療や安全が最優先される、入院期間が短い等の理由から、入院前の習慣や嗜好の情報収集までは困難であった。〈事故防止に関すること〉では、認知機能低下がある患者は、ルート類の自己抜去のリスクが高いことから、ルート管理の方法を工夫したり、患者の行動を見守ることができていた。【結論】今回の研究結果より、認知機能低下がある患者への対応として、患者の名前を呼びかけたり、処置の前に説明を行う等の対応はできていた。入院前のADLの把握には努めているが、入院前の習慣や嗜好を知ることは困難であった。患者の見守りの方法やルート類の管理方法の工夫をすることはできていた。