[P94-3] 人工呼吸管理を要した血液悪性腫瘍疾患患者の抜管成否別での比較
【背景】ICUに入室した血液悪性腫瘍疾患患者の予後は悪く、特に、人工呼吸管理は院内死亡に関連することが知られている。【目的】当院ICUに入室し、人工呼吸管理を要した血液悪性腫瘍疾患患者を抜管の成否で二群に分け、P/F ratio、重症度スコア、予後について後方視的に検討した。【方法】対象は、2015年11月から2018年7月までに当院ICUに入室し、人工呼吸管理を要した血液悪性腫瘍疾患患者11名とした。その11名を、抜管し人工呼吸から離脱できた群(E群)5名と抜管できず人工呼吸から離脱できなかった(V群)6名に分け、入室時と24時間後(死亡例は最終測定値)のP/F ratio、Acute Physiology and chronic Health Evaluation(APACH )IIスコア、Sequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコア、Simplified Acute Physiology Score(SAPS) II、予後について比較した。各群の値はノンパラメトリックとして扱い、Man-Whitney U検定を用いて統計処理を行った。また、p<0.05未満を統計学的有意とした。【結果】入室時P/F ratioは、E群207.0、V群95.6(NS)、24時間後P/F ratioはE群269.6、V群81.0(NS)であった。APACH IIはE群24、V群43(p<0.01)、SOFAスコアは、E群9、V群18(p<0.01)、SAPS IIはE群53.5、V群106.0(p<0.01)であった。予後は、E群6名中ICU死亡はないが、院内死亡は4例であるのに対し、V群はICU死亡3例、全例が死亡退院した。【結論】人工呼吸管理を要する血液悪性腫瘍疾患患者の抜管の成否には、P/F ratioではなく、重症度スコアであるAPACH II、SOFA、SAPS IIが関連していた。また、抜管の成否に関わらず、ICUで人工呼吸管理を要した血液悪性腫瘍疾患患者の院内死亡率は高かった。