第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

パネルディスカッション

[PD17] パネルディスカッション17
敗血症性DICへのアプローチ:これからの敗血症性DICを考える

2019年3月3日(日) 14:00 〜 16:00 第6会場 (国立京都国際会館1F スワン)

座長:射場 敏明(順天堂大学医学部附属 順天堂医院救急・災害医学), 小倉 裕司(大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター)

[PD17-3] 作用機序から考える遺伝子組換えトロンボモジュリンの位置づけ

伊藤 隆史1,2 (1.鹿児島大学病院 救命救急センター, 2.鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 システム血栓制御学)

 血管内皮細胞は血管内での血液凝固活性化を抑制し、潤滑な血液循環を維持している。敗血症の際には、血管内皮細胞のダメージや機能障害によって、血管内凝固が進行しやすい状態に陥る。この状態に対して、遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤を投与することで、どのような効果が期待できるのか、これまでの基礎的、臨床的知見をもとに考察していく。
 遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤は、凝固活性化の結果として産生されるトロンビンの作用を利用して活性化プロテインC(APC)を産生し、さらなるトロンビン産生を抑制する作用をもつ。このように、血液凝固系のネガティブフィードバック機構として作用することがこの薬剤の特徴の一つである。このことを、伝統的な抗凝固薬であるヘパリン製剤、DIC治療薬として汎用されているアンチトロンビン製剤、類似の作用機序をもつAPC製剤と対比させながら掘り下げ、各薬剤の特徴を考えてみたい。
 免疫血栓(immunothrombosis)に及ぼす抗凝固薬の影響ついても議論したい。感染症の際の血栓形成は、微生物を局所に封じ込める働きがあり、超急性期の抗血栓療法は感染を悪化させる可能性があるのではないか、という考えが基礎研究領域で提唱されている。抗凝固療法の開始は早ければ早いほど良いのか、基礎的立場でその是非を検証してみる。