第95回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

輸液・シリンジポンプ

輸液・シリンジポンプ

[105] 当院における注射筒輸液ポンプの故障の現状と課題

宮崎 聖, 塚本 功, 松田 真太郎, 土屋 陽平, 坂下 浩太, 廣勢 健二, 岡宮 宏, 高見澤 和樹 (埼玉医科大学国際医療センター MEサービス部)

【目的】
輸液ポンプは汎用性が高く,ICUのみならず一般病棟でも頻回に使用されることが他の医療機器と比べて多いため,その故障原因は様々なことが予想される.そこで今回,輸液ポンプの故障の現状を当院の医療機器DBを用い,後方視的に調査した.
【対象および方法】
対象は注射筒輸液ポンプ(以下注射筒P)であるテルモ社製TE-331S 499台,TE-SS800シリーズ 130台,汎用輸液ポンプ(以下輸液P)であるTE-161SA 519台,TE-281N 132台とし,2017年1月1日から2019年12月31日までの故障件数を調べた.故障要因を人為的,機械的,複合的 (人為的・機械的どちらも考えられる要因)に分類し調査した.さらに機器別に人為的故障の原因を比較し,今後の課題について検討した.
【結果】
2017年から2019年までの故障件数は注射筒P:204件,輸液P:141件だった.故障要因の内訳は,注射筒Pは人為的79%(161件),機械的18%(37件),複合的3%(6件),輸液Pは人為的31%(44件),機械的59%(83件),複合的10%(14件)となり,人為的は輸液Pに比べ,注射筒Pが有意に多かった.注射筒P TE-331SとTE-SS800の人為的故障の要因を比較すると,落下はTE-331S (45件) に比べ,TE-SS800 (3件)が有意に少なかった.転倒はTE-331S(4件)に比べTE-SS800(12件)が有意に多かった.
【結語】
注射筒Pの故障は人為的要因によるものが最も多かった.形状を考慮した機器の選定や使用者への教育を実施することで,故障を減らせる可能性があると考えられた.