第95回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌

滅菌1

[25] 酸化エチレンガス滅菌の作業環境改善へ向けた取り組み

竹森 加菜子1, 太田 智美1, 金澤 悦子1, 棚橋 正子1, 藤島 宏美1, 江島 豊1, 平野 淳2, 中村 剛3, 庄司 洋志4 (1.東北大学病院 材料部, 2.東北大学病院 安全衛生管理室, 3.東北大学 環境・安全推進センター, 4.サクラ精機㈱)

【背景・目的】
2018年5月の先進医療棟へ移転の際に,大容量のEOG滅菌装置に更新した.過去0.2~0.3ppm で推移していた気中濃度が2019年2月に0.6~0.7ppmへ上昇したため,作業内容を見直し取り組んだ結果,作業環境に改善がみられたので報告する.
【管理濃度の上昇した要因】
EOG滅菌装置は,器材を庫内に入れた後に酸化エチレンガスを充満させ滅菌し,その後,庫内の空気を12時間以上循環させて残留酸化エチレンガスを除去する.今回,管理濃度が上昇した要因として,1.EOG滅菌対象器材が多く,滅菌カートの積載量が多い.包装材の間に酸化エチレンガスが残留する.2.バイオロジカルインジケータ(BI)取り出しのため,8:00~8:30の間にEOG2台を開扉し,滅菌済器材カートを作業エリアに置いたままにしている.3.換気装置がEOG滅菌済器材の作業エリアから離れたところにある.が考えられた.
【検討および実施内容】
以上の問題について安全衛生管理室の衛生管理者,作業環境測定士,院内の設備係,滅菌装置のメーカ担当者と連携し,作業環境改善および作業改善を検討し実施した.1.EOG滅菌器材の内,歯科外来で使用しているバー・ニッパー類を歯科医師・衛生士と確認し,高圧蒸気滅菌(AC滅菌)へ変更した.2.BIを取り出した後,エアレーションを2時間追加した.3.安全衛生管理室副室長,作業測定士を講師として安全衛生について研修をおこない,EOG滅菌装置取り扱い上の注意点,安全な作業方法,滅菌物取り出し後の立入可能区域について学習した.
【結果および考察】
2019年8月の環境測定時には気中濃度が0.2~0.3ppmへ低下した.また,研修は滅菌担当者以外のスタッフも残留濃度や作業エリア区分などについて理解することができ,有用だったという意見が挙げられた.各担当者と材料部との情報を共有し,取り組み可能な改善策を実施したことは,適切な作業環境,働くスタッフの良好な職場環境づくりに有効であったと考える.