第95回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌

滅菌1

[27] 医療機器添付文書(鉗子)記載内容についての考察

坂田 辰男 (チヨダエレクトリック㈱)

医療機器のうち,医療技術が定着し,広く利用されている「鉗子」の添付文書について平成26年に厚生労働省より発出された「医療機器の添付文書の記載要領の改正について」他に従い,複数社の添付文書を調査したので報告する.
【背景と目的】 
調査した「鉗子」は法律上,一般医療機器として医療関係者には周知のもので殆どリスクのないクラス1に分類される.一方,医療現場では使用目的から手術等で使われ,感染リスクが最も高いクリティカル器具に分類される.鉗子は再使用されるので,再生処理の洗浄,点検,滅菌には確実な作業が求められるが,その手順ならびに方法についての記載が充分で無い添付文書の存在が見受けられる.
【方法】 
独立行政法人医薬品医療機器総合機構の添付文書検索より,一般的名称・販売名「鉗子」で抽出し,最終的に13社の添付文書について,前述の添付文書の記載要領の改正および使用上の注意の記載要領等に照らして,記載内容の調査をおこなった.
【結果】 
添付文書に要求される記載項目は17であるが,必須項目および省略可能な項目を除いた11項目について全ての項目を記載しているのは1社,少ない7項目の記載が4社であった.各記載項目に対する記載要領が提示されているが,記載項目と記載内容が一致しない添付文書も散見された.再生処理に関する「保守・点検に係る事項」は全ての企業が記載しているが,その内容については不充分から必要にして充分と企業によるバラツキがあった.
【考察】 
添付文書については(一社)日本医療機器産業連合会より「医療機器添付文書の手引書(第5版)」が発行され,作成に有用なテンプレートが示されているが「鉗子」は掲載がないことが各社の記載内容バラツキの一因かもしれない.医療機器のクラス分類が低くても感染リスクの有る機器は,確実な再生業務が遂行可能な必要充分な情報提供をすべきである.