第95回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

臨床工学業務

臨床工学業務

[34] フリーランス臨床工学技士の取り組み

-中小規模病院での医療機器安全管理支援-

大石 杏衣 (Kiwi〔CE医療機器安全管理支援〕)

【はじめに】
透析業務のない中小規模病院では,医療機器(以下機器)の種類や台数が少なく,人件費の捻出が難しい理由で,臨床工学技士(以下CE)を正規雇用する施設は少ない.私は118床の療養型病院に5年間務めた.看護師はブランクが長く,離職率が高い等の特徴があった.機器は長期使用が多いが,機器に対する認識が低く,不適切な使用や間違ったトラブル対応によるインシデントも多かった.その経験から,中小病院こそCEによる機器管理や教育が必要であると強く感じ,2019年8月に病院を退職し,個人事業として医療機器安全管理支援(以下支援)を始めた.
【実例】
2019年8月から整形外科病院で手術室と病棟の機器約50台を管理している.開始当初,医療機器管理責任者は不在,保健所立入検査で必要な書類もなく,指針,医療機器管理台帳,定期点検計画書の作成から取り組んだ.現在は月1回訪問し,定期点検,簡易マニュアルや手順書作成,インシデント対策,院内研修等をおこなっている.
【結論と考察】
支援によりCEが機器管理のベースを作り,定期訪問することで適切な管理と,医療スタッフの機器への関心が高まった.医療安全を考慮した使用手順書や簡易マニュアルの作成,臨床に即した院内研修,機器に関する相談ができる点で看護師からの評価が高かった.CEだからこそ,単なる機器管理に留まらず,医療安全や教育に力を入れた支援をおこなうことで,患者の安全と医療スタッフの安心につながると考える.
【結語】
医療機器がなければ医療が成り立たない昨今,他職種が片手間で医療機器管理をおこなうには限界がある.インシデントの多くは間違った使用やアラーム対応である.医療安全と教育の視点から医療機器安全管理支援をおこなうことで,CEの正規雇用が難しい中小病院でも適切な機器管理がおこなえた.今後も支援の取り組みを続け,多くの病院でCEによる機器管理を目指したい.