第95回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

電波管理

電波管理

[46] 医療機関で実施可能な徘徊感知機器の安全な導入に向けた電波環境面での評価方法の検討

藤井 清孝, 井上 宗紀 (神戸市立西神戸医療センター 臨床工学室)

【はじめに】
我々は先行研究において徘徊感知機器の1種が医用テレメータ使用周波数帯域(420~440MHz)の断続信号を発信しているとともに,近距離同時使用により受信障害が発生することを確認した.そこで本研究では(1)取扱説明書による情報収集,(2)発信信号の可視化,(3)医用テレメータチャネルとのマッチング,の3段階の方法を用い,医療機関で実施可能な徘徊感知機器の安全な導入に向けた電波環境面での評価方法を検討することを目的とした.
【方法】
対象とした徘徊感知機器は,一般的に購入可能なものとし2メーカ各1機種ずつ合計2機種とした.徘徊感知機器の発信信号は,USBリアルタイムスペクトラムアナライザ(テクトロニクス社製RSA507A)を用い当院ME機器管理室にて測定をおこなった.
【結果および考察】
取扱説明書の情報収集では,使用周波数帯域について徘徊感知機器Aは『429MHz帯1波』,徘徊感知機器Bは『426MHz帯4波』の記載であった.具体的な中心周波数の把握は困難であったが,徘徊感知機器Bについては取扱説明書上の情報収集のみで医用テレメータにほぼ影響しないことが確認できた.発信信号の可視化では中心周波数の測定とともに,両機種についてチャネルやグループの設定を変更することにより中心周波数が変化することが確認できた.最後に,発信信号の可視化によって得られた中心周波数と医用テレメータチャネルとをマッチングし,影響が想定される医用テレメータチャネルを特定できる可能性が示唆された.
【結語】
徘徊感知機器の取扱説明書の情報収集が,医用テレメータへの影響に関する簡易スクリーニングに使用できる可能性がある一方で,使用周波数によっては情報量が不足している.医療機関ではスペクトラムアナライザが普及していない状況から,徘徊感知機器製造販売業者においては電磁環境面での必要情報のより詳細な記載を求めたい.