第95回日本医療機器学会大会

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一般演題

呼吸循環

呼吸循環

[89] 人工心肺のローラーポンプ操作を支援するアタッチメントコントローラーの試作

宮澤 悠太, 森下 武志 (桐蔭横浜大学大学院工学研究科医用工学専攻)

【目的】
本稿では,人工心肺装置のリザーバーの貯血レベル維持操作において,ローラーポンプの回転数操作ツマミの上に置くだけで自動操作を実現する,装脱着が容易な操作ツマミのコントロールユニットを試作したので報告する.
人工心肺の操作は専門的で熟練した技術を必要とし,負担が大きい業務ためその軽減が課題となっている.そのため近年,人工心肺の自動制御技術の研究が見られるようになってきたが,その多くが組み込み型の制御システムであるため,制御システムに精通した技術者やオペレータを必要とする課題があった.
【構成】
本コントロールユニットは,光センサによる貯血レベル検出情報の有無によって,人工心肺装置の操作ツマミを直接回転させられる自動制御ユニットであり,操作ツマミのホルダとそれを回転させるサーボモータのみで構成された単純なものである.そのため,維持したい貯血レベルの位置に赤外線タイプの汎用的な光センサを貼り付ければ,その位置を目標レベルとしてローラーポンプ操作を操作者の意思で自動運転も手動運転にも簡単に切り替えられる特徴がある.サーボモータの制御はセンサが検出する貯血の有無を入力情報として小型なワンチップマイコンによる二値制御とした.
【実験・結果】
人工心肺と模擬人体を用いた体外循環回路を用いた評価実験を実施した.ただし,自動制御に必要無い人工肺と動脈フィルタは省略し,充填液には水道水を用いた.実験では光センサを維持したい所望の貯血レベルの位置に粘着テープで簡易的に貼付し,手動操作による通常の貯血レベル維持操作から,適当なタイミングで本コントロールユニットを装着し自動運転に切り替え,貯血レベル維持操作が良好におこなえることを確認した.
【結論】
人工心肺のローラーポンプの操作ツマミに上から単に置くのみの簡単な装着方法で,貯血レベル維持操作を容易に自動運転へ転換できる装置が試作できた.