第95回日本医療機器学会大会

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トレーサビリティ

トレーサビリティ

[96] 材料部支援システム導入による手術器械の組立業務に関する効果

太田 智美1, 藤島 宏美1, 棚橋 正子1, 金澤 悦子1, 竹森 加菜子1, 江島 豊2 (1.東北大学病院 材料部, 2.東北大学病院 材料部・手術部)

【背景・目的】
当院の手術器械の組立業務は,これまでセットメニュー表を確認しながらダブルチェックによる二人体制でおこなっていた.また,手術器械の破損やチップ交換,研磨などの不具合報告・修理依頼も紙ベースでおこなわれており,必要な情報が十分伝達されない場合もあった.さらに,代替や修理による欠品もあり組立業務の課題が散見されていた.2018年5月材料部支援システム(以下システム)導入後は,2次元シンボルレーザ刻印された手術器械を特殊読取リーダーで読取ることにより,組立業務の人員削減と手術器械の履歴管理,不具合・修理・代替情報をシステム入力できるようになったことで情報共有が可能となった.そこで今回,手術器械の組立業務を振り返り,システム導入による効果を明らかにすることにした.
【方法および結果】
開腹セットの組立時間,業務の状況やスタッフの声,手術器材の管理について確認した.組立時間はシステム導入前二人で25分,導入後一人で20分と短縮された.導入前はセットメニュー表を探す手間があったが,導入後はバーコードを読取り,組立画面が即座に表示できるようになった.ヒヤリハットを防ぐメッセージも表示されることで,ヒヤリハット報告も減少し,スタッフからは「組立が確実におこなえるようになった」との声が聞かれた.推奨使用回数のある器械は,規定回数を設定することで確実に器械の交換がおこなえるようになり,修理・欠品・廃棄の登録が容易になった.
【考察】
手術件数は年々増加しており,組立業務においても効率的で効果的な業務が求められる.システム導入により,手術器械の組立時間の短縮が図られた.また,ヒヤリハット防止,推奨回数のある器械の確実な交換,修理欠品廃棄登録などが可能となったことから,適切な器材管理につながり,情報共有や迅速な対応ができ,患者への安全で安心な器械の提供がおこなわれるようになったといえる.