第96回日本医療機器学会大会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション2 手術室周辺の医療機器保管~どうやったら片付くのか~

座長:今井 英一(新潟大学),瀬戸口 秀一(佐賀大学)

[パネルディスカッション2] 当院手術部におけるQRコードを用いた医療機器管理の試み

福士 真一1, 舘山 比佐子1, 中野渡 寛之2, 北山 眞任3 (1.弘前大学医学部附属病院 看護部, 2.㈲東奥電気, 3.弘前大学医学部附属病院 手術部)

【はじめに】
近年,腹腔鏡手術やロボット支援手術など使用する光学機器やエナジーデバイスの種類が急激に増加し各施設で医療機器の収納場所に難渋する問題が生じている.当院手術部では設計時の医療機器収納面積は約50m2と狭く,新規購入される医療機器は廊下(患者および医療機器の移動用)の外周に置かれている.廊下を占拠する医療機器の床面積の総計は78.5m2であり,廊下面積(面積490m2)の約20%に及び患者移動の安全や防災管理上の重要な問題であった(第39回日本手術医学会総会).当院では地元企業と共同して簡易的なトレーサビリティシステムを導入しQRコードによる鋼製小物や樹脂製器具などの使用履歴,洗浄・滅菌方法など器械管理の精度の向上に取り組んできた.2018年度から同様のシステムを医療機器管理に応用したので結果を報告する.
【方法】
手術部内のすべての医療機器にQRコード付きテプラを貼付し,機器の使用毎にiPodによるQRコード読み込みを手術部看護師により実施した.さらに使用状況を分析し,特に使用頻度の低い機器(1年以上不使用など)の実績の調査をおこなった.最終的に所有する診療科へ低い使用状況を提示して廃棄を含む対応を依頼した.
【結果】
医療機器管理システムに登録した機器は215点であり,過去2年間の管理データから1年以上使用していない機器は17点であった.診療科担当との相談により11物品を廃棄・撤去し,付属品を含め床面積約17.9m2に相当するスペースが解放され,廊下の最も狭い通行幅が100cmから210cmへ拡がり手術部内環境の改善が得られた.
【結語】
今後も増加が予想される医療機器の手術部内配置を適正にするためにQRコードによる使用履歴の調査と管理は有効と思われる.