第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

電磁環境・電波管理

電磁環境・電波管理

2024年6月22日(土) 09:00 〜 10:00 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:楠本 繁崇(大阪大学)

09:20 〜 09:30

[104] 当院における携帯情報端末の院内使用に向けた基礎調査

元石 徹也1, 田中 直子1,2, 高山 綾1,2, 茅野 功2 (1.川崎医科大学附属病院 ME センター, 2.川崎医療福祉大学医療技術学部臨床工学科)

【背景】
現在,スマートフォン等の携帯情報端末は生活必需機器であり,医療機関においても入院患者だけでなく医療従事者が業務上使用する施設も増加傾向にある.電波環境協議会による『医療機関における携帯電話等の使用に関する指針(2014)』(以下指針)において,携帯電話等の使用に関する注意事項およびルール設定の考え方が示された.各医療機関ではこの指針を参考に,個別の状況を総合的に考慮し,適切に設定することが述べられている.今回,当院においてスマートフォンの使用可能エリア拡大を検討するため医療機器への影響を調査したので報告する.
【方法】
研修センター内模擬病棟において,人工呼吸器,輸液ポンプ,シリンジポンプ,生体情報モニタを動作させた環境下でスマートフォン2機種(いずれも4G)を作動させた.Micronix社製スペクトラムアナライザを用いて模擬病棟内の電界強度を測定し,各医療機器から1m以上離した場合および医療機器に接触させた場合の動作状況を調査した.
【結果】
患者ベッド中央でスマートフォンを作動させた場合の1m距離における電界強度は最大で 110dBμV/mであった.各医療機器から1m以上離した場合および接触させた場合共に医療機器の動作は正常であった.
【考察】
スマートフォンによる電界は医療機器の放射電磁界耐性として要求される約130dBμV/m以下であり,医療機器へ及ぼす影響は低いと考える.また,医療機器へ接触させた場合も影響が確認されなかったため,指針に示される1m以上の隔離,医療機器上へ留置をしないことを徹底すれば,安全にスマートフォンの利用が可能であると考える.
【結語】
本調査では,実際の医療機器使用を模擬した環境下で,スマートフォンによる影響は見られなかった.他の情報端末および医療機器との影響を継続して調査することで,スマートフォン利用環境下においても安全な医療提供が可能である.