第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

医療機器管理

医療機器管理1

2024年6月22日(土) 14:00 〜 15:10 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:髙橋 典彦(岩見沢市立総合病院)

14:20 〜 14:30

[90] 2機種の輸液ポンプの輸液セット方式の違いによる輸液量の比較および検討

伴在 高志, 吉澤 光崇 (社会医療法人抱生会丸の内病院 診療技術部臨床工学課)

【背景】
輸液ポンプは機種によって異なる輸液セット方式を採用している.当院では輸液ポンプを TOP社製TOP7100からTERUMO社製TE261への輸液ポンプの更新がおこなわれた.TE261は輸液セットのアンチフリーフロークリップをセットしてから順にチューブを接続する方式であり,TOP7100はアタッチメント(カセット)を輸液ポンプに挿入する方式を採用している.
【目的】
輸液セットのセット方式によって輸液量の差がどうなるか検証すること.
【方法】
24人の看護師に輸液ポンプ2機種(TOP7100, TE261)各5台に輸液セットをセットしてもらい,30ml/hで24時間輸液ポンプを同時に稼働させ,電子天秤で輸液量を測定した.統計手法はt検定を使用し,有意水準は0.05とした.
【結果】
TOP7100 の24 時間後の輸液量の平均は 700.42ml,標準偏差は5.23,相対誤差2.72%. TE261の平均は689.10ml,標準偏差は10.44,相対誤差4.29%.各看護師の平均輸液量から見て, 2機種間には輸液量に有意な差が認められた.
【考察・まとめ】
TE261は輸液量のばらつきが大きかったが,これは輸液セットをセットする個人の差が輸液量に影響を与える可能性があることを示唆している.一方で,TOP7100はアタッチメントを差し込むだけの操作であり,各看護師による輸液量の差が小さいと考えられた.手順の簡便なアタッチメントタイプは,輸液ポンプの使用頻度が少ない医療機関ではメリットがあると考えられる.結果から,輸液セット方式による輸液量には有意差があり,セット方式の特性も理解した上で,輸液ポンプ勉強会の内容に取り入れる必要性がある.