第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

水脂肪画像その他-脳

水脂肪画像その他-脳

2014年9月18日(木) 09:30 〜 10:10 第5会場 (3F 源氏の間西)

座長:原田雅史(徳島大学大学院へルスバイオサイエンス研究部 放射線科学分野)

[O-1-104] 大脳白質の男女差の検討

椎野顯彦1, 古賀恒行2, 中谷仁1, 谷垣健二3, 森川茂廣1 (1.滋賀医科大学 分子神経科学研究センター MR医学総合研究分野, 2.滋賀医科大学 分子神経科学研究センター 神経難病診断学分野, 3.滋賀成人病センター研究所)

【目的】大脳白質には男女差があり、男性では半球内、女性では左右半球の連絡が多いと言われている。これには数多くの反論があり結論はない。OASISを用いて大脳白質の形状に男女差があるかVBMを用いて検討した。【方法】OASISのMRIのうち、CDR=0である316例を対象とした。解析はspm8による標準的なVBM法を用い、白質のROI解析にはBAAD を利用した。頭蓋内容積(TIV)を男女間で一致させた37 pairsはArdekaniらの報告を用いた。【成績】白質の体積はTIVと比例して大きいが、両側前頭葉と前部脳梁、後部帯状回はTIVとの相関が強く、皮質脊髄路、小脳および脳幹の白質は小さかった(p<0.05)。TIV-matched pairにおいては、脳梁面積と体積の男女差はそれぞれz値が2.89、3.12とp<0.005で有意に女性が大きかった。特に、脳梁の膝部と膨大部で顕著であった。左の前頭葉白質(Broca)、両側前頭葉底面、皮質脊髄路は女性、左右側頭葉先端部、後頭葉、小脳、延髄は男性で有意に大きい結果であった。316例において、TIVと年齢を補正した後の男女差の統計結果も同じ結果であった。【結論】女性の脳梁が男性よりも相対的に大きく見えるのは、単に脳の大きさの差を反映しているとの意見が多い。今回の我々の結果は、女性の脳梁が男性よりも大きいのは、脳の大きさに依存しない“性”特有の差であることを示した。特に左右の前頭葉底面を連絡する領域、Brocaの領域において女性の白質が大きい結果であった。