第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

fMRI-知覚

fMRI-知覚

2014年9月19日(金) 13:40 〜 14:20 第2会場 (3F 源氏の間東)

座長:樋口敏宏(明治国際医療大学 脳神経外科学)

[O-2-155] 脳のデフォルト・モード・ネットワークと認知機能の関連について

長村晶生1, 礒田治夫2, 飯高哲也3, エピファニオ バガリナオ2 (1.名古屋大学大学院医学系研究科 医療技術学専攻医用量子科学分野, 2.名古屋大学 脳とこころの研究センター, 3.名古屋大学大学院医学系研究科 精神生物学)

【目的】近年急増している精神疾患の診断・治療効果判定における客観的な指標はあまりない。しかし、安静時に活発に活動し、自己内省に関連する機能を有すると考えられる脳のDefault Mode Network (DMN)が精神疾患の発症に関与するとする報告があり、DMNと認知機能検査の間に関連があれば、DMNが認知機能を推定する有益な指標となる可能性がある。本研究では、認知機能検査として知的機能の簡易評価であるJapanese Adult Reading Test(JART)を用い、機能画像との相関の有無について検討を行った。
【方法】対象は同意を得た健常ボランティア38名(男性25名、女性13名、24歳-31歳 [平均年齢38.02歳])、MR装置はSiemens社製MAGNETOM verio 3T、受信コイルは32ch Head matrix coilを使用した。撮像はEPI(TR/TE=2500msec./30msec., Matrix=64x64, No.of Slices=39, FOV=192x192mm)で行った。MR画像はFunctional MRI of the Brain Software Library(FSL)のアドインであるMELODICにより独立成分分析(ICA)を行いDMNのコンポーネントを抽出、DMNコンポーネントに対しdual regressionを行った後、SPM8を用いてこれらの画像とJART全検査IQの結果との相関解析を行った。この際、共変量として年齢、性別を考慮した。統計閾値はp<0.001とした。
【結果】膨大後部皮質(Brodmann's area [BA] 23)において脳機能とJART得点に正の相関が、内側前頭前野(BA24)においては負の相関がみられた。また、BA46の領域おいても負の相関がみられた。
【結論】今回の研究において脳機能とJART得点に有意な相関がみられた。その領域は、認知処理、意思決定、注意、ワーキングメモリに関与する領域と考えられた。患者データにおいて同様の解析を行うことで、精神疾患の診断治療の有益な指標となる可能性がある。