第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

水脂肪分離画像

水脂肪分離画像

2014年9月19日(金) 11:10 〜 12:00 第4会場 (3F 源氏の間北)

座長:磯辺智範(筑波大学医学医療系 医学物理学)

[O-2-215] IDEALを使用したGd造影FSE-T1強調像の基礎検討

成松秀州, 渡辺翔, 秋葉ナオミ, 井上恵, 北岡亮太, 川下幸隆, 佐藤徹 (産業医科大学病院 放射線部)

【背景】近年,脂肪抑制法にDixon法を応用したIDEALを用いる事により磁場不均一部位においても良好な脂肪抑制像が得られるとの報告がある.しかし,Gd造影T1強調像にIDEALを用いる際,echo spaceの延長による画像コントラストや鮮鋭度の低下が懸念され,腫瘍形状,サイズ変化,浸潤度等の診断に影響を及ぼす事が考えられる.
【目的】IDEAL併用によるGd造影T1強調像の画像コントラスト,鮮鋭度の変化について従来法であるCHESS法との比較により検討した.
【方法】1) 90-401型ファントム(日興ファインズ社製)に対しIDEAL,CHESS併用T1強調像の撮像を行い,筋組織を近似する含水率75%のセクションに対するGd3+濃度0.2mmol/lのセクションのCNR計測を行った.撮像条件はETL数:2,3,4 バンド幅:19.23kHz, 62.50kHz, 125.0kHzにそれぞれ変化させ,他の条件TR:400ms,TE:11.9ms, MTX:256*256 ,slice厚:5mm, NEX:1は固定とした. 2) 22Gサーフロ針に0.2mmol/lのGd造影剤を封入した自作ファントムに対し1)と同条件にてIDEAL,CHESS併用T1強調像を撮像し鮮鋭度評価のためMTFを計測し比較した.
【結果】1) IDEAL,CHESS共にCNRはETL数の増加,バンド幅の拡大に伴い低下した.両者の比較ではIDEALの方が高いCNRを有する結果となった. 2) IDEAL,CHESS共に鮮鋭度はETL数の増加,バンド幅の縮小に伴い低下した.同撮像条件下の両者の比較ではETL数2ではバンド幅に関わらずほぼ同等の結果であったが,ETL数3以上,バンド幅60kHz以下の設定ではIDEALの方がより顕著な低下を示した.
【考察】IDEALがCHESS法に比べ高いCNRを有する結果は,原理上ETL数の3倍のecho数を使用するため,高い信号強度が得られる事が理由として考えられる.またCHESS法に比べETL数3以上,バンド幅60kHz以下のIDEALに起きた鮮鋭度の顕著な低下はecho数の増加とバンド幅の縮小によるecho spaceの延長が各echoから得られる信号強度に大きな差を生み,その結果生じたブラーリングアーチファクトが原因となったと考えられる.
【結語】IDEAL併用Gd造影T1強調像はCHESS法併用時に比べ高いCNRを有するが, ETL数3以上,バンド幅60kHz以下の設定ではecho spaceの延長により鮮鋭度の低下は顕著となる.