第42回日本磁気共鳴医学会大会

講演情報

一般演題

シーケンス

シーケンス3

2014年9月19日(金) 14:20 〜 15:00 第4会場 (3F 源氏の間北)

座長:瀧澤将宏(株式会社日立メディコ MRIシステム本部)

[O-2-227] トレーニングスキャンレスk-t法によるTime-SLIPイメージングの基礎検討

齊藤佳奈子1, 竹島秀則1, 塩寺太一郎1, 武口智行1, 伴苗修平3, 山下裕市2, 久原重英3, 油井正生3 (1.株式会社東芝 研究開発センター, 2.東芝メディカルシステムズ株式会社 MRI営業部, 3.東芝メディカルシステムズ株式会社 臨床アプリ研究開発センター)

【目的】Time-SLIP(Time-Spatial Labeling Inversion Pulse)法は、体液領域をRFパルスによってラベリングすることで、非造影で体液の動態を画像化できる方式である。一方筆者らは、本撮像データのみから時空間感度を推定することで、空間解像度と時間分解能の高い画像を再構成可能なトレーニングスキャンレスk-t法(以下、提案法)を提案した[1]。本研究の目的は、Time-SLIPイメージングに対する提案法の有効性を評価することである。本稿では、従来1.9fps程度で撮像されてきた脳脊髄液(CSF)の動態観察[2]の時間分解能向上についての評価結果を示す。
【方法】balanced SSFPを利用して、同意の得られたボランティアからTime-SLIP法によるCSF時系列データを収集した。データ量がフルサンプリングの1/Rとなるようにk-t空間でデータを間引いた。使用したMRI装置は東芝メディカルシステムズ社製Vantage TitanTM 1.5Tである。撮像パラメータとしてTR=3.4ms、TE=1.7ms、RO=256、PE=192/R(Reduction factor)、slice=6mm、FOV=29x29cm、FA=34°を用いた。
【結果】R=4、6、8で収集したデータを再構成し、R=8でもCSFの視認性に影響のない画像が得られることを確認した。時間分解能はフルサンプリングでは1.53fpsであったが、R=4、6、8ではそれぞれ6.12fps、9.18fps、12.24fpsに向上した。これにより、フルサンプリング撮像時には観察が困難であったCSFの微細な動態の観察が可能であることを確認した。
【結論】Time-SLIP法を用いたCSF撮像に対する提案法の効果を確認した。また、血流など他の観察領域へのTime-SLIPイメージングに対しても提案法は適用可能と考える。臨床評価は今後の課題とする。
参考文献 [1] ISMRM2013;21:3839. [2] MAGMA2013; DOI10.1007/s10334-013-0416-1.