[P-2-164] 脳動静脈奇形においてMSDE法を用いたvessel wall imagingを付加する意義
【目的】脳動静脈奇形を対象として,motion sensitized driven equilibrium (MSDE) 法によるvessel wall imagingの画像的特徴を検討する。【方法】対象は未治療または定位放射線治療後の脳動静脈奇形患者10名(男性4名,女性6名,年齢27~53歳,平均40.3歳)である.3T MRI (GE Signa HDxt) を用い,90°x-180°y-90°-xパルスからなる標準的なMSDE preparation (motion sensitization gradient, b値(3軸合成)= 7 s/mm2 )を、3D T1-weighted variable flip angle FSE (CUBE T1: TR/TE = 500/19.6 (minimum), FOV = 22 cm, matrix = 256×256 (ZIP 512×512), slice thickness/interslice spacing = 0.8/0.4 mm) に併用した。Gd造影前後で、MSDE併用CUBE T1を撮像した。Gd造影後の3D FSPGR (TR/TE = 20/2.2, FA = 20°, FOV = 18 cm, matrix = 256×224 (ZIP 512×512), slice thickness/interslice spacing = 0.8/0.4 mm) を比較対照として使用した。造影後の画像において,視覚的にi) nidus近傍を走行する血管の壁に沿った造影増強効果の有無、ii) nidus内の血管壁および周囲組織の造影増強効果の程度(none, focal perivascular, diffuse parenchymalに分類)を評価した。【結果】検討対象のうち6名が未治療、4名がγナイフ治療後であった。治療後の脳動静脈奇形では、i) nidus近傍を走行する血管の壁に沿うような造影増強効果が、MSDE併用CUBE T1においては4/4例で認識可能であったのに対し、FSPGRでは1/4例のみで認識可能であった。加えて、MSDE併用CUBE T1では、未治療の症例ではnidus近傍の血管に壁に沿うような増強効果は認めなかった 。また、ii) nidus内の血管壁および周囲組織の増強効果については、MSDE併用CUBE T1において、未治療の場合でも4/6例で限局的な血管周囲の増強効果が認められ、出血の既往のあるnidusにおいてその傾向があった。【結論】MSDE併用造影CUBE T1は、脳動静脈奇形のnidus内やその近傍の血管壁や周囲組織の造影増強効果を,MSDEを併用しない標準的な造影3D T1-weighted GRE法に比べ,より鋭敏に表現し得る可能性がある。