[P-2-195] 腎移植後の中枢神経限局性リンパ増殖疾患(CNS-PTLD):MRI と臨床経過
【目的】移植後リンパ増殖性疾患 (PTLD) は、免疫抑制状態の反応性リンパ増殖状態から悪性リンパ腫までの広いスペクトラムを持つ疾患である。中枢神経源極性(CNS)-PTLD のMRIは通常の悪性リンパ腫に類似する場合や、AIDSなどの免疫抑制状態に合併したリンパ腫様のリング状や出血を有する像を呈する場合があると言われる。今回我々は腎移植後CNS-PTLDについて、MRI 像と臨床経過をretrospective に比較検討を行った。【方法】対象は2007 年から2013 年の間に当院で腎移植後のCNS- PTLD を発生した5例である。MRI は1.5T 装置を使用して、非造影のDWI、FLAIR、T2WI、T1WI、T2*WI を撮影された。MRIでは、1) T2WI/ FLAIRで病巣数を単発性か多発性に分類、2) DWI によるリング状構造の有無、3) T2*WI による低信号域の有無を評価、臨床経過と比較した。【結果】5例中、2例は発生前の日常生活を回復したが3例は予後不良であった。画像評価では、単発が3例、単発が2例であった。DWI でリング状構造を有したのは3例であった。T2*WI の低信号域を有したのは3例であったがいずれも微細な変化であった。リング状構造例とT2*WI低信号例は一致しなかった。DWI のリング状構造を有した3例中2例が良好であった。T2*WI 低信号を有した3例中2例は予後良好であった。多発病変3例中で予後良好だったのは1例であった。【結論】今回経験した腎移植後CNS-PTLD では、通常のリンパ腫には見られないDWIでリング状を呈する症例が多かったが、明らかな出血巣と断定できるほどのT2*WI 低信号域を有する症例はなかった。またリング状像の有無と治療経過は関係しなかった。