50th Memorial Annual Meeting of Japanese Society of Clinical Neurophysiology (JSCN)

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アドバンスレクチャー

アドバンスレクチャー11

Fri. Nov 27, 2020 3:00 PM - 3:30 PM 第3会場 (2F B-2)

座長:柿坂 庸介(東北大学病院てんかん科)

[AL11-2] 薬物と脳波

池田俊一郎1, 吉村匡史1, 桂功士1, 南翔太1, 佃万里1, 上田紗津貴1, 山根倫也2, 木下利彦1 (1.関西医科大学 精神神経科学教室, 2.関西大学 大学院 心理学研究科)

 薬物脳波学は1933年にBergerがバルビツレートやモルヒネ、スコポラミンなどで脳波に変化を認め、さらに容量依存的に脳波や行動が関連し変化するという発見から始まった学問領域である。その後、様々な薬剤で特定の脳波変化が現れることが明らかになり、薬物脳波学が発展してきた。現在、薬物脳波として一般的になっているものに抗精神病薬、抗不安薬・睡眠薬、精神刺激薬などがある。それぞれの脳波に対する影響は、抗精神病薬では一般的に著明な徐波の増加と速波の減少によって特徴づけられ、抗不安薬・睡眠薬としてのバルビツレートやベンゾジアゼピン誘導体では、速波の増加とα波の減少によって特徴づけられる。精神刺激薬では、高域α波、速波の増加と徐波、低域α波の減少でと言われている。このように薬物の影響は様々報告があり研究がなされている。また、薬物脳波学は、今後、個別化医療や製薬開発における早期のバイオマーカーなどに期待されている。個別化医療とは、遺伝的背景、生理的状態、患者の状態などの個人差を考慮して、その人個々に最適な治療法を提供する医療と定義される。現在、薬物脳波学を用いた個別化医療で注目されている精神疾患は、注意欠如・多動症(ADHD)とうつ病である。製薬開発においては、ミアンセリンの開発においても薬物脳波学が有効であったが、具体的には、薬物反応の早期判断、副作用の把握、第2相試験での効率的な被験者の選択などへの利用の可能性が期待されている。本発表では国際薬物脳波学会が作成した薬物脳波の測定・評価ガイドラインをもとに測定条件も示しながら、様々な解析など最新の知見や今後の展望についても述べたいと思う。