日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

関連学会合同シンポジウム

関連学会合同シンポジウム11 PSGから見る神経及び筋疾患 (日本臨床睡眠医学会)

2020年11月27日(金) 10:10 〜 11:40 第8会場 (2F K)

座長:立花 直子(関西電力病院 睡眠関連疾患センター/関西電力医学研究所 睡眠医学研究部)、堀 有行(金沢医科大学 医学教育学/金沢医科大学病院 睡眠医学センター)

[CSP11-3] レム睡眠行動異常症の常時監視PSGのraw dataの解析と病態

小栗卓也 (公立陶生病院 脳神経内科)

レム睡眠行動異常症(REM sleep behavior disorder, RBD)は“睡眠中の夢内容に一致した異常行動(dream-enacting behavior, DEB)”を中核症状とし,終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)における“筋活動の低下を伴わないレム睡眠(REM sleep without atonia, RWA)”を生理学的指標とする睡眠関連疾患である.RBDの診断ではPSGでRWAを証明することが必須とされているが,その病態を深く考察するうえでは,単にPSGを実施し後日RWAの有無を視察判定するのみでは十分とはいえない.まずPSG実施においては常時監視が原則であり,終夜直接観察することにより,DEBが生じた直後に被検者から夢内容の陳述を得ることができるほか,睡眠時無呼吸症候群などDEBがみられうる他疾患(RBD mimics)を鑑別しやすくなる.安全管理においても,異常行動が生じた際の被検者の身の安全を確保することができる.またレム睡眠中に骨格筋活動がどれだけ抑制されるかは,脳幹機能のバロメーターのひとつとなりうる.よってRWAの出現は出生後で脳幹機能がまだ成熟途上にあるか,成熟後に何らかの原因で不具合を起こしていると解釈され,一定以上のRWAがみられる患者では脳幹に何か病的変化が生じているかも知れないという視点で捉えることができる.この点でRWAは必ずしもRBDに特異的な現象ではなく,他のさまざまな病態でも出現しうる.近年は主に診断に活用する目的で,RWAの定量評価法が考案されている.本シンポジウムでは,RBDの常時監視PSGの利点のほか,ビデオ記録やraw dataから得られる情報の活用方法について,神経変性疾患など背景病態との関連も交えて発表する.