日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

関連学会合同シンポジウム

関連学会合同シンポジウム17 超適応の臨床生理学 (日本ニューロリハビリテーション学会)

2020年11月27日(金) 15:00 〜 16:30 第6会場 (2F I)

座長:出江 紳一(東北大学大学院医工学研究科)、太田 順(東京大学 大学院工学系研究科 人工物工学研究センター)

[CSP17-2] 主体感の脳内メカニズムとモデル

温文 (東京大学大学院工学系研究科)

人間は身体を通して外界とインタラクションしている。身体は外界から情報を感じ取り、外界に対して働きかける。その働きかけ方とフィードバックによって、外界から入力される情報の知覚、外界に配る注意、そして次に取る行動が変わっていく。外界の事象や変化を引き起こしているのが自分であるという主観的な感覚は、主体感と呼ばれる。本講演は、主体感の生起メカニズムと脳内神経基盤について議論し、身体と行動のモデルについて紹介する。具体的に、主体感の生起には探索と開拓の2段階があると仮定し、この2つの段階のプロセス、行動、および脳内神経基盤が異なることが最新の研究に示唆された。主体感の探索では、運動制御の内部モデルを利用するよりも、外界の変化と自分の行動の間の規則性を検出することが重要であると考えられる。このような規則性の検出は、行動にとっては内的な報酬であり、注意を引き寄せ、次に主体感の開拓に移行する。主体感の開拓では、運動制御モデルを利用し、外部の変化によって自分の行動を更新していくと考えられる。この2つの段階では行動と注意に異なる影響を与え、それぞれが依存する脳内基盤も異なると考えられる。最後に、本講演は行動と主体感のモデルを紹介し、リハビリ応用について議論する。