[CSP21-1] 精神疾患における電気生理学的アプローチ
脳波検査は、てんかん診療など昔より低侵襲であり異常波の検知のため一般的に使われているが、近年、デジタル技術の向上や機械学習の登場に伴い直接神経活動を測定でき時間分解能も高いという利点を生かし電気生理学的研究の強力なツールとして様々な最新の知見が発表されている。脳波検査として、安静時脳波と事象関連電位(ERP)に大別できる。事象関連電位(ERP)とは、一定の刺激や課題に対する類型的な電気生理学的反応であり、繰り返し行い測定した脳波を加算平均することで得ることができる。事象関連電位としては、P300やミスマッチ陰性電位などが有名であり、高次の情報処理過程と関連しているといわれている。安静時脳波としては、当研究室で行っているeLORETAやmicrostates解析などがあり、eLORETAはexact low resolution brain electromagnetic tomography analysis の略であり、電流源密度を断層写真のように描写するものことができる脳波解析ソフトウェアであり、microstates解析は、脳波データをクラスター解析し、ほぼ安定したtopographyが連続して出現する区間やその切り替わり方を解析することで、脳活動の電気的最小単位であるMicrostate segmentationを決定する解析手法である。LORETAではさらに脳部位間における機能的連関(LORETA connectivity)や有向性ネットワーク(eLORETA-ICA)の解析が可能となっており、様々な研究に用いられるようになっています。周波数解析としてはγ振動を含むニューラルオシレーションなどがあげられおり、統合失調症をはじめとした精神疾患で異常が指摘されており、GABA 介在ニューロンとMNDA受容体の機能異常との関連が示唆されている。さらに本発表では最新の電気生理学的研究として、機械学習、TMS-EEG(磁気刺激による脳波)など最新技術も含めて最新の知見をレビューする。