[P21-20] 約30年来の進行性四肢体幹筋力低下・翼状肩甲を生じ慢性神経原性変化を示した70歳女性
【症例】70歳女性。幼少期から側弯・運動不得意であり、40歳頃より頸部伸筋群の筋力低下、50歳より左上肢近位筋・右上肢遠位筋筋力低下、65歳頃より両下肢近位筋力低下を自覚。その後緩徐に筋力低下進行し70歳時に入院。四肢体幹の筋萎縮・筋力低下、Gower’s 兆候、左翼状肩甲を呈した。神経伝導検査で軸索障害を、上下肢の針筋電図で慢性神経原性変化を認めた。抗GalNAc-GD1a抗体陽性だったが、髄液所見は正常で、MRI上神経根肥厚は明らかではなかった。緩徐進行性の経過や孫の処女歩行遅滞から遺伝性疾患が疑われたが、SMN遺伝子検査では異常を認めなかった。【考察】運動ニューロン病に類似した抗GalNAc-GD1a抗体陽性緩徐進行性末梢神経障害の報告例がある。一方、本症例は下位運動神経障害が主体であり、家族歴を考慮し実施したnon-5q SMAに関連する遺伝子解析の結果を待ちたい。