窪木拓男 (岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 インプラント再生補綴学分野)
セッション情報
専門歯科衛生士教育講座
要介護を見据えたインプラント治療における歯科衛生士の役割
2019年9月22日(日) 10:40 〜 12:10 第1会場 (福岡サンパレスホテル&ホール 1F コンサートホール)
座長:田中 譲治(日本インプラント臨床研究会)
高齢化のスピードを示すものとして,老年化指数(65歳以上の人口を0~14歳の人口で割った値)がある.たとえばフィリピンが17.8%,アメリカ78.3%,韓国94.1%であり,超高齢社会対策の参考にすることの多いスウェーデンが113.7%であるが,驚かされることに日本は212.4%と突出している.このように世界に類のない高齢化が進んでいる長寿国として,健康寿命を延伸し世界に向けて見本となるような医療を展開することが期待されている.
このような中,インプラント治療は欠損のある患者にとって,健康長寿につながる咀嚼回復・維持ができる優れた治療であることは揺るぎない事実であるといえよう.しかし,一方で介護状態から見つめると多くの課題が残されている.これらを真摯に受け止め,どのように対処するかを検討することが現在とても重要となっている.日本口腔インプラント学会において,訪問歯科に関するポジションペーパーが出され,介護現場でのインプラントに対する知識不足,情報不足によるトラブルが多いことが示されており,咀嚼機能の維持をはじめ,運動制御低下や不随意運動にともなう義歯不安定の防止,舌接触補助床(PAP)への活用など,要介護状態におけるインプラントの有用性が置き去りになっている.このような現状において一生涯患者の生活に寄り添った歯科医療を提供し,国民の健康長寿に寄与するインプラント治療をおこなうにあたり,最も身近で重要な歯科衛生士に要介護を見据えたインプラント治療の知識,情報を学んで頂きたく,この分野で非常に造詣の深い窪木拓男先生に講演をして頂く.是非とも要介護におけるインプラント治療の考え方,そして歯科衛生士の役割を学び,インプラント治療のさらなる発展に寄与して頂ければ幸いである.