The 39th Annual Meeting of Japanese Society of Oral Oncology

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Mini Lecture

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ミニレクチャー

[ML-01-1] Consideration of non-survival cases in patients with oral squamous cell carcinoma and Future perspectives in a tertiary referral center

〇Takumi Hasegawa1, Daisuke Takeda1, Yasumasa Kakei1, Masaya Akashi1 (1.Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Kobe University Graduate School of Medicine, Kobe, Japan)

【略歴】
2005年3月 大阪大学歯学部歯学科 卒業
2005年6月 神戸大学医学部附属病院歯科口腔外科 入局 (研修医)
2006年4月 神戸大学大学院医学研究科外科系講座口腔外科学分野 入学
2009年3月 同 早期修了 (医学博士)
2009年4月 加古川東市民病院(旧神鋼加古川病院)歯科口腔外科 医員
2011年7月 神戸大学医学部附属病院歯科口腔外科 医員
2013年9月 神戸大学医学部附属病院歯科口腔外科 特定助教
2014年8月 神戸大学大学院医学研究科外科系講座口腔外科学分野 助教
2020年4月 神戸大学大学院医学研究科外科系講座口腔外科学分野 講師
現在に至る
進行頭頸部扁平上皮癌の標準治療として、切除可能な場合は根治的切除を行い、病理組織学的に再発高リスク因子を認めた場合、術後放射線化学療法を検討することが推奨されている。当院ではこの標準治療にのっとり、口腔癌治療を継続してきた。近年においては、JCOG1008試験の結果を受け、術後放射線療法に上乗せされる補助化学療法は高用量シスプラチン(CDDP)(100mg/m2×3)からweekly CDDP(40mg/m2×7)へと移行されている。これら治療内容の変遷はあるものの、当科における1999年~2017年における根治的切除例における治療成績は、3年OSでstage I : 93.4%, stage II : 89.1%, stage III : 78.8%, stage IV : 65.9%であった。各施設からも予後に関して、良好な結果の報告がされているが、根治的切除の方針とする診断基準や対象症例が異なっており、比較しにくいのが現状である。また、集学的治療を行っても、局所・頸部・遠隔非制御となる症例は存在し、再発後の治療方針の決定に難渋することがある。
一方、現在、超高齢社会を迎えた日本における75歳以上人口は全人口中14.7%にのぼり、口腔癌治療の対象年齢も増加傾向にある。治療方針を計画する際、当科では根治手術に関して年齢による制限は設けず、治療可能と判断した場合は、手術を行っている。当科で根治治療が可能であった75歳以上に限定した治療成績は、3年OSでstage I : 94.3%, stage II : 84.7%, stage III : 67.2%, stage IV : 62.9%であり、全年齢の予後と比較すると進行癌においてやや低下する傾向にあったが、集学的治療を行う意義は十分あると考えられた。しかし、上述の術後補助療法も含めた標準治療は高齢者の予後においてはエビデンスが不足しており、その有効性については議論の余地がある。さらに、認知機能の低下や既往歴、家族の意向等から、根治治療が困難な症例も少なくない。
本発表では、根治的治療後に非制御となった症例と、初回治療時に根治的治療ができなかった症例について検討し、今後の治療戦略についての考察を行いたい。