第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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1.悪性腫瘍・臨床統計

[P01-01] 硬さは舌癌の術前に診断可能な予後予測因子である

〇柴田 真里1,2、八木原 一博1、炭野 淳1,2、石井 純一1、桂野 美貴1、金 裕純1,2、原口 美穂子1、柳下 寿郎3、出雲 俊之3、石川 文隆3 (1.埼玉県立がんセンター 口腔外科、2.東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎顔面外科学分野、3.埼玉県立がんセンター 病理診断科)


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【目的】現在、主に手術標本の病理組織診断結果が予後予測因子とされている。術前の予後予測因子としては癌の厚さをエコーで測定する方法が行われている。われわれは厚さに加えて舌癌の硬さに着目し、リスク因子としての可能性を検討した。
【対象・方法】対象患者は、2014年4月~2019年10月に埼玉県立がんセンター 口腔外科にて舌癌と診断された一次症例で舌エコー併用下にて舌部分切除を施行した62人とした。症例は、cT1/2(UICC8th)かつ筋層浸潤に限定した。各患者の腫瘍と舌筋のひずみ値は、超音波エラストグラフィを用いて測定した。腫瘍の硬さを、舌筋のひずみに対する癌のひずみ比(strain ratio;SR)とし半定量化した。全生存率(overall survival ; OS)と頸部リンパ節転移をエンドポイントとし、Log rank testにてP値が最小となる値を術前SRのcut off値とした。生存率の解析をKaplan-Meier法を用いて算出し,単変量解析ではLog rank test、多変量解析はCox比例ハザードモデルにて解析を行った。P<0.05を有意差とした。
【結果】SRのcut off値は頸部リンパ節転移,OSについてそれぞれ9.7,8.0であった。5y-頸部リンパ節転移制御率は72.0%(SR <9.7)と52.6%(SR≧9.7)であった(p = 0.043)。5y-OSは97.2%(SR <8.0)と69.7%(SR≧8.0)であった(p = 0.009)。多変量解析では、頸部リンパ節転移において神経周囲浸潤(PNI)[HR= 2.585; p = 0.038]とSR(HR = 2.457; p = 0.033), OSにおいてSR(HR = 10.109; p = 0.011)は有意なリスク因子であった。
【結語】組織の硬さは、術前に診断可能な予後予測因子である。