第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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1.悪性腫瘍・臨床統計

[P01-06] 当科における超高齢口腔がん症例の臨床的検討

〇合島 怜央奈1、蒲原 麻菜1、森 啓輔1、檀上 敦1、山下 佳雄1 (1.佐賀大学 医学部 歯科口腔外科学講座)


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【緒言】高齢化社会に伴い、高齢口腔がん患者の治療機会が増えている。特に超高齢者に対する治療方針の決定には患者の全身状態の把握や治療後のQOLを予測する必要があり、判断に難渋する。今回、当科における超高齢口腔がん患者の治療態度に関して臨床的検討を行った。【対象】2016年4月から2020年3月までに当科を受診した90歳以上の口腔がん1次症例を対象とした。【結果】症例は21例(男性3例、女性18例)で、組織型は全て扁平上皮癌であった。原発部位は舌7例、上顎歯肉5例、下顎歯肉4例、頬粘膜3例、口蓋と下唇が各1例であった。全症例で併存疾患を有しており、高血圧症が13例と最も多く、その他の循環器疾患11例、整形外科疾患8例、認知機能障害が7例であった。治療態度は、根治的治療に準じた11例(根治群)、姑息的治療3例(姑息群)、Best Supportive Care(BSC群)7例であった。Performance Status(PS)は0/1が8例(根治群7例、姑息群1例)、2が5例(根治群2例、BSC群3例)、3/4が8例(根治群2例、姑息群2例、BSC群4例)でPSによって治療態度が変化した。根治群に認知機能障害を有する患者はいなかった。病期分類はStageⅠ/Ⅱ9例(根治群6例、BSC群3例)、StageⅢ/Ⅳ12例(根治群5例、姑息群3例、BSC群4例)でStageⅠ/ⅡでもBSCとなった患者が存在した。根治群の治療成績はStageⅠ/Ⅱは全症例で観察期間中に腫瘍制御がきていたが(12~37か月)、StageⅢ/Ⅳ症例は5例中4例で局所再発もしくは頸部・遠隔転移を認めた。【結論】超高齢口腔がん患者ではPSの悪化や認知機能低下が治療態度に強く影響した。患者のADLや生活背景にあわせて治療法を選択することが重要である。