[P01-07] 下顎歯肉扁平上皮癌手術症例の臨床病理学的検討
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[緒言]口腔がんの中で, 下顎歯肉癌は舌癌に次ぐ発症頻度である。今回われわれは当科で手術療法を施行した下顎歯肉扁平上皮癌症例に対し臨床病理学的検討を行ったので, その概要を報告する。
[対象・結果]2009年4月から2020年3月までの12年間で下顎歯肉扁平上皮癌(顎骨中心性を除く)の診断にて, 当科で手術加療を行った81例(男性27例, 女性54例)を対象とした。対象群の年齢は48歳から89歳(中央値73歳)であった。pT分類はT1:32例(40%), T2:27例(33%), T3:5例(6%)、T4:17例(21%)であった。pN(＋)は24例ありpN1:22例, pN2:2例であった。術式は歯肉切除術が21例(26%), 下顎辺縁切除術が32例(40%), 下顎区域切除術が23例(28%), 下顎半側切除術が5例(6%)に施行された。転帰としては原病死8例であった(原発巣再発3例, 頸部再発4例, 原発＋頸部再発1例)。5年全生存率(OS)は78.6%, 5年疾患特異的生存率(DSS)は87.1%であった。pT分類, pN分類, pStage分類, YK分類, 下顎管浸潤の有無の各群間でOSとDSSを比較すると, 頸部リンパ節転移の有無(pN0 vs pN1以上), およびYK-3以下の症例とYK-4C以上の症例群の間で統計的有意差が認められた。
[考察]本検討の結果, 頸部リンパ節転移の有無および浸潤様式YK-4C, 4Dが下顎歯肉癌症例における予後不良因子と考えられた。これは諸家の報告や口腔癌診療ガイドラインの記載と同様の結果であり, 両因子が下顎歯肉癌症例に対する予後予測因子であることが再確認された。