第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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2.悪性腫瘍・手術

[P02-09] 下顎歯肉に発生した類上皮血管内皮腫の1例

〇鈴木 麻美1、北條 秀樹1、小山 修示3、江口 貴紀2、長谷部 充彦2、川口 浩司2、濱田 良樹2 (1.湘南東部総合病院 歯科口腔外科、2.鶴見大学歯学部口腔顎顔面外科学講座、3.小澤病院 口腔外科)


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【緒言】類上皮血管内皮腫(以下:EHE)は、生物学的、組織学的に、血管腫と血管肉腫との間に位置する低~中悪性度の血管内皮由来の非上皮性腫瘍であり、口腔領域に発生することはまれである。今回われわれは、下顎歯肉に発生したEHEを経験したので、その概要を報告する。【症例の概要】患者は48歳女性で、初診の1カ月前より歯肉の腫瘤を自覚、急速に増大を認めたため当科受診した。右下顎歯肉頬側に30㎜大の有茎性腫瘤性病変を認め、形状は分葉状、表面は灰白色で滑沢な被膜で覆われ、腫瘤は充実性、弾性硬であった。歯列を挟み、舌側にも10㎜大の同様の腫瘤を認めた。CT所見では、腫瘍と接する歯槽骨に骨吸収像を認めた。局所麻酔下の生検では、確定診断に至らなかったが、悪性の可能性が極めて高いと考えられたため、下顎辺縁切除を施行した。摘出時の病変は50㎜大に増大し、一部暗紫色を呈していた。病理組織学的に、粘液状の間質を含み、紡錘形の腫瘍細胞が、索状または胞巣状に増殖し、この腫瘍細胞間に管腔様の血管形成を示す像を認めた。腫瘍細胞の核は、大小の類円形を呈し、多核細胞が混在し、中等度異形を認めた。また、免疫組織化学的に、血管内皮マーカーであるCD31、CD34で陽性を示し、EHEと診断した。現在、術後1年4カ月経過しているが、再発・転移などの所見は認められない。【考察】EHEは、局所再発や遠隔転移の報告もあるため、今後も厳重な経過観察が必要である。