第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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2.悪性腫瘍・手術

[P02-19] 口腔再建に用いた遊離皮弁における水分量の変化

〇炭野 淳1,2、八木原 一博1、桂野 美貴1、柴田 真里1,2、金 裕純1,2、原口 美穂子1、柳下 寿郎3、石川 文隆3、濱畑 淳盛4 (1.埼玉県立がんセンター 口腔外科、2.東京医科歯科大学 顎顔面外科、3.埼玉県立がんセンター 病理診断科、4.埼玉県立がんセンター 形成外科)


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【目的】再建皮弁の機能評価として,嚥下機能や知覚・熱痛覚を評価した研究はみられるが,嚥下機能や口腔乾燥の要因と推察される再建皮弁内の湿潤度,いわゆる水分量に関する研究は見当たらない。そこで,今回,われわれは再建に適応した遊離皮弁ならびに切除後の残存舌について,湿潤度の計測を試みた。

【対象】埼玉県立がんセンター口腔外科において2018年4月~2020年7月までに遊離皮弁再建をした35例を対象とした。内訳は男性25名,女性10名,年齢39~81歳(中央値66歳)であった。使用した遊離皮弁は,外側大腿皮弁19例,腓骨皮弁9例,前腕皮弁5例,腹直筋皮弁2例であった。

【方法】口腔水分計ムーカスを測定に用いて,術後に遊離皮弁採取部の皮膚,遊離皮弁部,可動部残存舌の3部位を測定した。1部位につき連続3回測定し,中央値をその測定値とした。測定時期は皮弁が生着し,経口摂取が安定した術後1か月以降から開始した。

【結果】全35例の各測定部位の湿潤度の平均値は,遊離皮弁採取部の皮膚が45.0±11.2,移植後の遊離皮弁が28.8±1.79,舌が29.0±1.51であった。移植後の遊離皮弁の湿潤度は,遊離皮弁採取部の皮膚と比較して有意に低下していた(p<0.001)。しかし,移植後の遊離皮弁は残舌と比較して有意な差は認められなかった(p=0.814)

【結論】移植後の遊離皮弁の湿潤度を測定した結果,遊離皮弁の湿潤度は本来の同皮膚の湿潤度より変化する。さらに,残存舌と同等の湿潤度になることが明らかとなった。