第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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6.悪性腫瘍・緩和ケア・リハビリ

[P06-02] 治療可能な歯肉癌に対しBSC(Best Supportive Care)が選択された1例

〇兼子 隆次1、澤木 廉1、河合 孝真1 (1.豊田厚生病院 歯科口腔外科)


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【緒言】ターミナルステージに至る多くの口腔がん患者は手術などの治療歴を有するが、稀に初診時から積極的な治療を望まずに本ステージを迎える症例に遭遇する。今回、われわれは治療可能と診断したにも関わらず、自らBSC (Best Supportive Care)を選択した下顎歯肉癌の1例を経験したので報告する。【対象】症例は56歳男性、左下顎歯肉を原発とするStageⅣの癌患者であった。BSCを選択した背景に加えて、初診から死亡するまでの病状経過、治療内容、疼痛管理、病状に対する不安とその対応について検討した。【結果】手術などの治療法を提示するも癌の根本的治療は拒否し、BSCを希望した。当初は疼痛管理を主に行うも、病状の進行に従い全身状態の改善や栄養管理なども加療対象とした。その後、著しくPSが低下したため緩和ケア病棟へ入院下加療とした。胃瘻の造設と緩和目的の放射線治療を受け入れたことでQOLが改善した。終末期には高Ca血症や低Na血症によるせん妄を認めた。死亡の数日前より除痛以外の投薬と栄養は拒否された。【考察】治療に積極性がみられない点については精神科より境界性人格障害による旨を指摘された。通常のターミナルステージを迎える場合に比べて身体的、精神的な緩和や患者の社会性や死生観を理解するなど、より全人的対応を要した。PCTの早期からの介入が患者とその家族のQOLの改善に寄与するものと思われた。