第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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6.悪性腫瘍・緩和ケア・リハビリ

[P06-05] 訪問診療チームで口腔悪性腫瘍の患者を終末期サポートした症例

〇梅原 亜矢子1,2、近藤 英司1、鎌田 孝広1、篠原 潤1、栗田 浩1 (1.信州大学医学部 特殊歯科・口腔外科、2.新生病院 歯科口腔外科)


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口腔悪性腫瘍の終末期治療に関しては、緩和ケア病棟入院下で対応することはもちろん、最期の時を病院ではない自宅もしくは慣れ親しんだ場所で迎えたいと希望をされる患者は少なくない。緩和ケアは患者本人はもちろん、患者家族にとっても可能な限り最も望ましい看取りを目指すものである。今回、口腔悪性腫瘍と診断された後にBSCの方針となり、入院下ではなく慣れ親しんだ介護老人保健施設で訪問診療を希望され、内科と歯科口腔外科を含めたチームでの訪問診療体制で看取りまでサポートした症例を経験した。

患者は90歳女性で、近医歯科にて左下歯肉の腫瘤を指摘され当院紹介となった。既往歴としては高血圧、脳梗塞、重度の認知症があった。その後腫瘤は徐々に増大を認め、二回の生検後に筋線維芽細胞肉腫(myofibroblasitc sarcoma)の診断を得た。CTにて頸部リンパ節転移を疑う像も認め、高齢で認知症も重度であること、家族が積極的な加療を望まれないことも考慮されBSCの方針となった。生活拠点である介護老人保健施設での生活をできる限り継続したいという希望があり、内科と歯科口腔外科を中心に訪問診療でサポートしていく方針となった。医師、歯科医師、看護師、歯科衛生士でチームとなり、患者家族や施設スタッフとも密に連携をとる中で穏やかに最期を迎え、家族もゆっくりとではあるがその死を受容することができていたように思われた。医療スタッフ間、患者家族や施設職員とのコミュニケーションの重要性も含め報告する。