第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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9.悪性腫瘍・ゲノム

[P09-06] 口腔癌における有糸分裂調節因子NUSAP1の多角的解析による腫瘍増殖機構の解明

〇大島 早智1、中嶋  大2、伊豫田  学2、笠松  厚志2、坂本  洋右2、椎葉  正史3、鵜澤  一弘1,2、丹沢 秀樹4,5 (1.千葉大学 医学部 大学院医学研究院 口腔科学講座、2.千葉大学医学部附属病院 歯科・顎・口腔外科、3.千葉大学 医学部 大学院医学研究院 臨床腫瘍学講座、4.千葉大学 真菌医学研究センター、5.たむら記念病院 歯科口腔外科)


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【目的】Nucleolar and spindle-associated protein 1 (NUSAP1)は有糸分裂調節因子であり,紡錘体集合から細胞質分裂までの範囲に発生する細胞事象に不可欠であるとされる. 本研究ではNUSAP1が口腔扁平上皮癌(OSCC)に与える影響を分子生物学的解析により解明することを目的とした.【材料および方法】The Cancer Genome Atlas(TCGA)における頭頸部扁平上皮癌データ(N=566)から,NUSAP1の発現状態を解析した.OSCC由来細胞株9種, 臨床検体70例におけるNUSAP1の発現状況をqRT-PCR法, Western blot法, 免疫組織化学染色法にて分析し, 臨床指標との相関を統計学的に評価した. またOSCC細胞株由来のNUSAP1発現抑制株を樹立し, 細胞増殖と細胞周期の評価に加えて,パクリタキセル(PTX)の抗腫瘍効果を検証した. さらに文献検索によりNUSAP1の阻害薬を同定した.【結果】TCGAにおいて正常部に対して癌部ではNUSAP1のmRNA発現レベルが有意に高かった(p<0.01).OSCC由来細胞株においてNUSAP1の有意な過剰発現を認めた(p<0.05).OSCC臨床検体においても過剰発現を示し, 原発巣の腫瘍径に有意な相関をみた(p<0.05). NUSAP1の発現抑制株においては細胞増殖能の有意な抑制が認められ(p<0.05),さらにPTXアポトーシス誘導効果の増強が確認された. 文献検索により直接的阻害薬3種, 間接的阻害薬1種を同定した.【結論】NUSAP1の発現はOSCCにおいて有意に亢進しており,その発現抑制が腫瘍増殖の抑制およびPTXによる抗腫瘍効果の増強につながることが強く示唆された. 同定されたNUSAP1阻害薬は, タキサン系抗癌剤の新規効果増強薬となる可能性があると考えられた.