第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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10.悪性腫瘍・バイオマーカー

[P10-01] 口腔扁平上皮癌における病理組織学的新規予後規定因子の検討

〇土橋 恵1、岡本 準也1、笹谷 聖1、加藤 大貴1、中井 裕美1、宮﨑 晃亘1 (1.札幌医科大学 医学部 口腔外科学講座)


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【目的】
腫瘍微小環境(TME)における間質細胞は、抗腫瘍免疫応答の制御に重要な役割を果たしているが、その評価は煩雑であり統一された見解は得られていない。本研究では口腔扁平上皮癌における腫瘍間質境界部の線維増生に着目して、HE染色標本上で簡便に評価できるborderline microenvironment fibrosis(bMF)の有用性について検討した。
【方法】
2004年1月〜2017年5月に当科で加療した口腔扁平上皮癌1次症例236例を対象とした。HE染色標本を用いて、顕微鏡下200倍視野で癌の発育先進部における腫瘍から100μm範囲の間質における組織像についてのbMFを評価し、bMFと臨床病理学的因子との関係ならびに治療成績(OS,PFS)について統計学的検定を行なった。
【結果】
236例中、bMF陽性110例、陰性126例であった。単変量解析で、腫瘍径、リンパ節転移、Stage、Grade分類、浸潤様式とbMF陽性と統計学的に有意に関連を示し、さらにCox回帰分析による多変量解析を行った結果、bMFはOS,PFSの独立予後因子となった(OS p=0.024,PFS p=0.001)。また、サブグループ解析では早期癌、特に中〜低分化癌でbMF陽性例は有意に生存率が低下した。
【結論】
腫瘍境界部のbMFは、OSCCの新たな予後不良予測マーカーとなり得ることを明らかにした。