第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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11.良性腫瘍

[P11-02] Noonan症候群患者に発生したエナメル上皮線維歯牙腫の一例

〇加藤 伸一郎1、宮本 大模1、堀部 桃子1、福島 麻子1、高島 裕之1、森田 麻希1、菱田 純代1、青木 尚史1、渋谷 恭之1 (1.名古屋市立大学大学院医学研究科生体機能・構造医学専攻  感覚器・形成医学講座 口腔外科学分野)


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【緒言】エナメル上皮線維歯牙腫は、2005年WHO分類において「歯原性上皮と歯原性外胚葉性間葉組織からなり、硬組織形成を伴うもの」に分類された。歯原性腫瘍の中では発生率1%以下の極めてまれな腫瘍である。今回、Noonan症候群患者に発生したエナメル上皮線維歯牙腫の一例を経験したので報告する。

【症例】8歳、女児。生後よりNoonan症候群として当院小児科で経過観察されている。右側下顎第一大臼歯の萌出遅延のため、かかりつけ歯科医院でパノラマエックス線を撮影したところ右側下顎臼歯部に不透過像を認め、2016年3月に当科紹介受診した。CTにて右側下顎臼歯部に歯牙腫様の不透過像を認め、7月に全麻下にて摘出術を施行。術後の病理検査でエナメル上皮線維歯牙腫と診断された。2019年2月に再発を認め、9月に全麻下にて再摘出術を施行。術後の病理検査でも再発と診断された。再手術後6か月の現在、再発は認めていない。

【考察】エナメル上皮線維歯牙腫は無痛性で緩徐に発育膨隆するため萌出遅延により偶然発見されることが多い。予後は比較的良好とされているが、再発に伴い悪性転化する例が報告されている(Howell et al. 1977)。またNoonan症候群と歯牙腫との関連性については既に報告されているが(Lutz JC et al. 2020)、本疾患との関連性については今のところ不明である。